オバマ・ショック
「オバマ・ショック」
越智道雄 /町山智浩 2009/01 集英社 新書 202p
Vol.2 No.547 ★☆☆☆☆ ★★★★★ ★★★☆☆
越智は著名なアメリカ学者、町山は韓国籍でありながら韓国語を話せない、日本社会で成長した映画評論家。二人がオバマの登場をきっかけとしてアメリカ社会の歴史、そして、これからのグローバル社会の展望を話し合う。
町山 オバマという一個人の背後には、ありとあらゆるバックグランドが存在することがわかりますね。
越智 だから、オバマをひと言で表現するなら「絶対的アウトサイダー」ということになると思うんです。人種、階級、宗教、コミュニティ、家族関係などあらゆる側面で、どこにも帰属してこなかった、あるいは帰属できなかった人ですね。 町山 逆に言えば、どこにでも帰属するとも言えます。演説でもそのことを強調しています。さまざまなアメリカを内包する自分は、バラバラになったアメリカ再統合の象徴だと。 p161
この本は、当ブログの例えで言えば、コンテナ、コンテンツ、コンシャスネス、の三要素の中ではコンテンツに偏りを見せているが、本来はここからさらにコンシャスネスへと歩み出してほしい一冊である。
地球人スピリット、とひとことで言ってしまうことは簡単だが、さて、それがどのような形で具現化してくるのか、と問われれば、そうそう簡単なはずはない。オバマの言動には、どこか寸止め的なオーバーアクション的な部分がないでもない。ブラック・ケネディどこか、ヘタすりゃ、ブラック・カーターになってしまう可能性もある。
それでもやっぱり、ひとつのプロセスとして、オバマの登場は、大いなる希望を感じさせる。今後どのような展開をしていくのか、興味深々だ。そして、オバマにつづき、オバマを超えていく若き政治家たちも登場してくるだろう。さらにもっともっと、多くの新しい若き地球人たちが次から次と生まれてくるに違いない。
現在は、まだそれはオバマ・ショックと呼ばれる段階だが、このオバマ・インドロームはさらに進化して、もっともっとポピュラーなものになるに違いない。そして、当ブログはさらに、そこから、超政治な、地球人スピリットへとつながるプロセスに関心を持っている。
越智 キング牧師のような説教師ではないですしね。いずれにしろ、オバマといのは、類型がない人であることは間違いない。彼の演説を見た知人は「まるで彫像のようだ」と評していましたが、私は、大げさに言うと、弥勒菩薩みたいなものだと思いますね。
町山 宇宙人の次は弥勒菩薩ですか(笑)。
越智 弥勒は釈迦入滅後56億7000万年後に現前して一切の衆生を救出してくれる「未来仏」ですが、奴隷にされてから400年の辛苦は、心理的に56億7000万年に匹敵するのです。だから、オバマ当選で「アーメン!」と連呼する黒人たちの姿が全米で目撃されている。「ついに未来仏が現れた。生きてこの光景色を見られようとは!」というわけです。さらに言えば、弥勒信仰というのは一種の救世主待望論ですから、戦乱や飢饉のような「国難」が発生したときに起こるんですよ。p196
すでに地球は、ひとりの救世主によって救われるというようなシンプルな構図にはなっていない。相互に干渉しあって、ひとつのコンシャスネスのネットワークがグローバルな地球全体を包み込むこと、その時こそ、私たちが地球人としての自らのアイディンティを取り戻すときだ。その表れのひとつがオバマ・ショックと呼ばれている。
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