テラ・フォーミング 宇宙コロニーの実現
「テラ・フォーミング」
宇宙コロニーの実現
ディスカバリーチャンネル 2003/04 ディスク枚数: 1 角川書店 52 分
Vol.2 No.555 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★☆☆
ちょっと帰り足に時間ができたので、ひさしぶりに天文台に寄って、プラネタリウムを見てきた。今年は30年に一度、地球からみる土星の輪がなくなる年回りだそうで、子供たちに混ざって、元気なお兄さんの説明を聞くのも、なかなか良いものだった。
人類が月に足跡をつけてからすでに40年が経過しているのだが、かならずしも宇宙開発計画は順調に進んできたわけではなかった。現在、宇宙空間で行われている若田光一さんのスペースシャトルでの作業もかなずしも、土星や火星を向いて行われている作業ではない。
テラ・フォーミングとは、基本的に人類が生活する環境にない、地球以外の星々を、人類が住める環境にかえてしまおうというプロジェクトだが、このDVDを見ていると、その突拍子もない計画も、現在の人類が手にしている科学技術を持ってすれば、決して不可能ではない、と力説されている。
北朝鮮が、テポドンとやらを打ち上げようとしているが、超音速飛行機コンコルドとか、原子力発電とか、技術的には可能であっても、全体のバランスから考えれば、どうも現在のところはマッド・サイエンスでしかないものも数多い。
このテラ・フォーミングも、現在のところは、マッド・サイエンスのひとつと数えられてもしかたないだろう。限られた数名の宇宙飛行士を獏大な負担で宇宙空間に飛ばしてやることは、この21世紀初頭においては、まだまだ不要な計画であるように思われる。
むしろ、地球上に住む人類は、この地上をもっともっとテラ・フォーミングする必要があるのではないか。まだまだこの地上は、融和のとれたテラにはなっていない。オバマが自らの政治指針として上げたのは、教育、医療保険、ソフトエネルギー、の三本柱だった。
総体的にみた場合、人類はまだまだ、本当の意味で人間になっていない。飢えや疫病に悩む人々はいまだに限りないし、日本のような識字率が高い地域ばかりではない。そして、化石燃料の使いっぱなしの時代には終りを告げなければならない。
真の意味でのテラ・フォーミングは、月や火星や土星を人間が住めるように作り変えることではないだろう。もちろん、この地球環境を破壊してしまうことではない。むしろ、この地球上に住まわせてもらうために、自らを周囲と調和させることにこそ、その科学力や英知を使う時なのではないだろうか。
地球人としてのアガタ・ザ・テランは、土星や火星を目指さない。むしろ、この地上にあって、いまだ未知なる、真の地球とともに生きるために、自らの内なる存在を、全体と融合することに智慧を傾注する。
シリウスや冬の大三角、おうし座などをながめながら、夢とロマンははるかな宇宙への旅立って行った。だが、45分間のプラネタリウムの旅行から帰ってみれば、まもなくやってくる春に向けて、それでもやっっぱりまだまだ寒い風の中に立っている、木々たちがいた。
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