ターシャム・オルガヌム<2>
<1>よりつづく
「ターシャム・オルガヌム」<2> 第三の思考規範―世界の謎への鍵
P.D. ウスペンスキー (原著), 高橋 弘泰 (翻訳), 小森 健太朗 (解説) 2000/06 コスモスライブラリー 単行本 451p
イタリアの心理学者ロベルト・アサジョーリは、自らの「サイコシンセシス(精神統合)」をうちたてるにあたり、グルジェフとウスペンスキーの二人の思想に大きく影響を受けたことを認めている。邦訳された「サイコシンセシス」(春秋社)でも、ウスペンスキーの名前と著作がグルジェフと並んであげられている。「解説」小森健太朗p448
「(私家版)Oshoのお薦め本ベスト10」のなかに、P・D・ウスペンスキーとアサジョーリが上位にランクし、それを支えるようにコリン・ウィルソンが控えていることを考える時、当ブログとしては、いまだに曖昧規定でしかない「ブッダ達の心理学」の探究の道筋を、こちらのほうに向けていくのは当然のあるかのようだ。
自らを「グルジェフ+ウスペンスキー」だとか、「フロイト+アサジョーリ」、などとOshoが自称する時、やや傲慢な、ぶつ切り的な言い方なので、わかりやすいけれども、細かい点については見逃してしまいがちになる。
だが、当ブログがインターネット上にあり、その中の機能としてブログという文字表現媒体を用い、さらには図書館ネットワークと連動した形で、読書ブログ化してきた時、Oshoのサニヤシンとしてあちこちの彼の本を読みながらも、その中心のひとつに「私が愛した本」を据えて、さらにはその中から「私家版ベスト10」まで作って考えた時、この方向選択は必然的であったとも言えないこともない。
インドのバグワン・シュリ・ラジニーシ(和尚)もまた、グルジェフとウスペンスキーを重視する一人だ。その講話にグルジェフが登場する頻度は高く、ウスペンスキーについても、著作家としては「今世紀最大」「プラトンをしのぐ思想伝達者」と激賞しているが、その一方で師グルジェフを裏切ったとして非難している。「解説」小森p450
コリン・ウィルソンは、欧米の著名な著作家の中では、もっともウスペンスキーを高く公正に評価していると言える存在である。詳しくは邦訳のある「20世紀の神秘家ウスペンスキー」(河出出版社)を参照していただきたい。「ウスペンスキーはグルジェフに出会わなかったとしても20世紀のずばぬけて興味深い思想家になっていたであろう」(同書、6p)という評価は正しいと思うが、同書のウスペンスキー評価は、あまりにウィルソン流で、フラットになりすぎているという不満がある。「解説」小森p450
ウィルソンの「アウトサイダー」についてOshoは「この本は読むに値する。ただ読むだけだがね。」と、まるで(笑)つきのような評価をしている(笑)。なにはともあれ、ウィルソンものは興味深い本がたくさんある。Oshoとおなじ1931年生まれのウィルソン、インドと英国の二人の青年を大きく分けたのは、何だったのか、そんなところも、今後は読み分けていくと面白いかも。
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