アウトサイダー<3>
<2>よりつづく
「アウトサイダー」 <3>
C.ウイルソン , 福田 恒存 , 中村 保男 1957 紀伊国屋書店 333p
「(私家版)Oshoのお勧め本ベスト10」にランクされている限り、今回も一度は手に取ってみなければならない。
一番目。コリン・ウィルソンの「アウト・サイダー」だ。これは、今世紀、最も影響力の大きな本の一冊だ。だが著者は平凡な人間だ。彼は途方もない能力を持った学者だ。そして確かに、そこここに若干の洞察はある。しかしこの本はすばらしい。
コリン・ウィルソンについて言うなら、彼はアウトサイダーではない。彼は世間的な人間だ。私はアウトサイダーだ。私がこの本を愛するのはそのためだ。私がこの本を愛するのは、コリン・ウィルソンがそこで語っている領域の人間でないにも関わらず、その叙述はごくごく真理に近接しているからだ。だが覚えておきなさい。たとえ真理に近くても、それはまだ真理ではない。真理であるか、真理でないかのどちらかしかない。その中間はない。
この「アウトサイダー」という本は、アウトサイダーの世界を外側から理解しようとするウィルソンの、大いなる努力の表現だ。ちょうど誰かが鍵穴からのぞきこむような、アウトサイダーをその外側(アウトサイド)から覗きこもうとする努力の。そうすれば少しは見ることができる。そしてコリン・ウィルソンはそれを見た。この本は読むに値する。ただ読むだけだがね、学ぶ価値はない。読み終わったらごみ箱に投げ捨てればいい。ほんもののアウトサイダーから来た本でない限り、それは遠い遠いこだま、こだまのこだま、反響の反響でしかないからだ。Osho「私が愛した本」p152
よくよく考えてみると、かの「お勧め本」リストにランクされた、ライヒ、ウスペンスキー、アサジョーリ、に加えて、マルチン・ブーバー、アリストテレス、マルクス、コリン・ウィルソン、などなど、み~~んな悟っていないのでは・・?と思えてくる。 いまひとつOshoの高得点を得ていない(笑)。しかし、その反面、本としては最大級の評価を得ている。つまり、最終的には、本は捨てられるべきなのだ。ごみ箱に捨てられるべきはなにも「アウトサイダー」ばかりではない。
小森健太朗は「ターシャム・オルガヌム」解説で書いている。
初めてその名を知ったのは、ご多分に洩れず、コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」の終章でグルジェフとともに言及されているのを通じてである。「ターシャム・オルガヌム」p440
この本は、少年時代から知っているが、文字が小さいし、「サヨク」的じゃなかった(笑)から、私ははあまりよく読まなかった。今でもコリン・ウィルソンはなんとなく好意を持っているのだが、得意ではない。
われわれの観点からして、もっとも興味ある点の1つは、グールドジェフが「3つの道」をあきらかにしていることだろう。3つの道とは、隠者の道、僧侶の道、ヨギの道であるが、これらは、本書の第4章で確立した3つの修練法、肉体、感情、精神に対する制御と同じである。ところで、それよりも興味深いのは、グールドジェフの方式には、他の3つ道をすべて含む第4の道があるとかれが主張している点である。南フランスにあるグールドジェフの「学校」は、「人間の調和的生育を目的とする道場」と呼ばれているが、つまりそれは、人間の3つの要素を調和的に育てあげるという意味である。グールドジェフ方式のめざす目標と「アウトサイダー」の求めるものが同一であることはまちがいない。p294
この辺こそウスペンスキーが「人間の4つのセンターと七つの範疇」として書いている部分とオーバーラップしてくるところだろう。
ところで、小森健太朗が同じ「ターシャム・オルガヌム」解説p449で「サイコシンセシス」について書いている。
イタリアの心理学者ロベルト・アサジョーリは、自らの「サイコシンセシス(精神統合)」をうちたてるにあたり、グルジェフとウスペンスキーの二人の思想に大きく影響を受けたことを認めている。邦訳された「サイコシンセシス」(春秋社)でも、ウスペンスキーの名前と著作がグルジェフと並んで挙げられている。「ターシャム・オルガヌム」解説p449
ここで(春秋社)となっているところが、ちょっと気になる。当ブログが読んだのは誠神書房の「サイコシンセシス叢書ー4」だったが、こちらは、あまりこのような印象を受けなかった。ひょっとすると別な本かもしれない。当ブログにおいては、ちょくちょくこのようなトンチンカンな取り違えがあるが、まぁ、徐々に精度をあげていけばいいだろう。
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