人間に可能な進化の心理学<5>
<4>よりつづく
「人間に可能な進化の心理学」 <5>
P.D.ウスペンスキー , 前田 樹子 1991/03 めるくまーる 単行本 162p
講座1 人間は自分自身を知らない
講座2 人間の4つのセンターと七つの範疇
講座3 自己発達に必要な条件
講座4 自己想起の錬金術
講座5 知識の存在と理解
1937年9月23日木曜日の講座 p5「目次」
ざっと、見ると巻末の「1937年9月23日木曜日の講座」を除けば、ウスペンスキーの世界観でもあり、グルジェフの世界観である、と言っても過言ではあるまい。グルジェフ・ワークのウスペンスキー的理解、ということにしておこう。
「講座1 人間は自分自身を知らない」においては導入部なので、全体的な取り組みや、時代背景、を把握し、そして、一番大切なことは、用語の理解と統一だ。他のさまざまな潮流や学派があるが、まずはウスペンスキーの言葉に耳を傾けて、自分なりに使いきれるようになりたい。いわゆる「意識」とか「無意識」、「心理学」やいわゆる神秘主義についての用語の取扱いがメインとなろうか。
「講座2 人間の4つのセンターと七つの範疇」においては、独特な世界観が展開されるが、実は、別に独特というわけではないのだ。よくよく読んでみれば、どっかで聞いたことのある話題の連続だ。断片的であったとしても、どこかですでに仕入れてある知識たちが目覚める。4とか7とか象徴的に使われるが、そのようにまとめられている、ということだ。つまり「まとめてくれている」、というのがプラス・ポイントで、「まとめられている」、というところがまた、マイナス・ポイントであることを忘れてはいけない。Oshoの本なら、「秘教の心理学」や「奇跡の探求」へと展開するところであるが、ここはじっとウスペンスキーの講座に耳を傾けよう。
「講座3 自己発達に必要な条件」。ここからはちょっと複雑になる。つまりは、マスター、スクール、ワーク、などの独特の用語と実際的な流れについての理解だ。しかし、これもまた、かならずしもウスペンスキー独特のものというよりは、他世界においても言われているごく基本的な事柄なのだ。それがウスペンスキーなりの用語や語り口で語られる。この辺になると、クリシュナムルティなどとの比較が面白かろうが、ここはグッとウスペンスキーに身を寄せて考えてみたい。
「講座4 自己想起の錬金術」。ここまでくると、色調でいえば、馬車から馬へと話題の中心が移っている。この講座、どこから始めるか、どこを強調するかは、後日にまかせるとして、結局は、現在の具体的な「私」自身の在り方に関わってくるだろう。微妙な話が続くが、今はまだよく読んでいない。具体的なリアリティとの出会いが必要だ。なにはともあれ、この本、らせん状にうろうろしていれば、全体を俯瞰することは、それほど難しくはない(だろう)。
「講座5 知識の存在と理解」。ここまでくれば、話は、御者のレベルであり、馬車+馬+御者=一体がテーマということになろう。ウスペンスキーがいうように、ここまでゆっくり聞かなければ、この講座の意味がない。ホントの意味でワークが始まらないということになろう。ただ、ここまでくるとウスペンスキー本人の葛藤や矛盾がでてきている可能性も高い。その辺をじっくり読みこんでみるもの興味深い。
最後の「1937年9月23日木曜日の講座」は当然、この本におけるキモの部分だが、ここは今はあまりスキャンダルにとらえずに、あとでゆっくり楽しもう。グルジェフ+ウスペンスキーのスクールやワーク、システムがどのようにOshoワールドに引き継がれていったのかも、いろいろ推測してみるのも面白い。当ブログとしては未読であるが、サニヤシンの書いたグルジェフ関連本「覚醒の舞踏」なども、興味深々というところ。
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