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2009/05/23

新しい宇宙像<4>

<3>よりつづく 
新しい宇宙像(下巻)
「新しい宇宙像」(下巻)<4>
ピョ-トル・デミアノヴィチ・ウスペンスキー /高橋弘泰 2002/08 コスモス・ライブラリ- /星雲社 単行本 399p

 水平線や地平線が、必ずしも直線ではなく、大きな円弧の一部だとすると、そこには円として完結し、「直径」が存在することになる。地球に直径があり、地球の行動に直径があるように、太陽にも直径があるだろうし、太陽に公道にも直径がある。太陽系や宇宙にも「直径」が存在している。

 とするなら、人生というサイクルにも実は「直径」が存在しているのではないか。仮に人生80年を天命とするなら、それが一つの「直径」になるだろう。よくドッグイヤーなどと言われるが、犬の生命としては14~15年ほどの直径があるかもしれないし、ネズミや象には、それなりの直径があるはずだ。

 植物ならもっと長いだろう。私の住まいの近くにあるカヤの木の老木は樹齢1300年と言われているし、屋久島の縄文杉ならすでに数千年を生きているはずだ。もしブッダガヤの菩提樹がこの2500年の間に何回か世代を交代してきたとすれば、それぞれ数百年づつの「直径」があったということになるだろう。しかし、この輪廻(サンサーラ)を超えていくことがニルヴァーナとされている。「直径」という概念は超えて行かれなくてはならない。

 本書下巻においては、ほぼ100ページにわたって「新しい宇宙像」という論文が展開されている。1911年までに書かれ、29年頃まで手を加えられた文章ということになるが、アインシュタインが「一般相対性理論」を発表したのが1916年であれば、当時の文化人としても、ウスペンスキーの物理学への理解力は群を抜いた稀有なものだっただろうことが理解できる。

 この本が「新しい宇宙像」というメインのタイトルを持ち、関連する小論文の集合がこの本だとすれば、この論文が、ウスペンスキーのこの本の主要論文ということになるだろう。であればこそ、力の入る一文ということになるのだが、物理学にもウスペンスキーにも詳しくない当ブログとしては、ちょっと鼻白らむ表現がいくつかでてくる。

 「7次元」は不可能である。なぜならそれは存在しない方向へ向かって走るどこにも延びない線となるだろうからである。
 不可能な線が7次元、8次元、そして他の存在しない次元の線である。その線はどこにも伸びず、どこからもやって来ない。どんなに奇妙な宇宙を想像しようと、次がグリーン・チーズでできた太陽系を認めることはできない。同じように、どんなに奇妙な科学的操作を思いつこうと、アインシュタイン教授が地面と雲の間の距離を測るためにポツダム宮殿の上にポールを本当に立てるとは想像できない。とはいえ彼は著書の中でそれをやろうとしているのだが。
p231

 7次元は不可能、と言いつつ、ウスペンスキーは6次元までは可能としているのだ。21世紀の現在、リサ・ランドールなどの気鋭の物理学者たちが5次元時空の謎を解こうとしている。だが、数学的に、あるいは物理学的にその次元について語られているが、生活実感としてはn次元という考え方は、私にはあまり実感が湧かない。

 1次元や2次元ばかりではなく、3次元、という考え方さえ、実はあまり実感はない。j仮にこの世に直方体が存在するとは分かっても、「立方体」や「直方体」は存在しないのではないだろうか。サイコロであったとしても、たしかに「直方体」ではあっても、白い、とか、目がついているとか、転がる、とかいう属性が付加されている。

 宅配便の段ボールであっても、「直方体」としては存在していない。紙でできており、中は空間で、中には何かを入れることができ、満杯にしても、せいぜい10キロ前後の重さである、という属性がある。3次元、という考え方さえ、私には、あくまでも仮定の考え方であると思える。

 先年、「レムリアの真実」にかかわる女性たちと、付近の山を散策したことがある。その時、話題にでた話のなかに、このn次元の話があった。「今はまだ4.8次元くらいまでしか行っていないが、5次元の世界になったら・・・・」などという表現があって、それを聞いているこちらとしてはフムフムとなんの違和感もないような顔して聞いてはいるが、もう、そこからの話は、私の耳には全く入ってこない。

 なにはともあれ、ウスペンスキーが理論的なものや数学的なものに対する理解力(対応力)も、ずば抜けていたらしい、ということをここで確認しておこう。

<5>につづく 

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