フロイト 精神分析学入門
「フロイト」 精神分析学入門 世界の名著(60)
フロイト 1978/4 中央公論新社 全書 559p
Vol.2 No.595★★☆☆☆ ★★★★★ ★★★★★
ここにおられるかたがたのうち、若い男性諸君におききしたいと思います。みなさんは自分が女性から好意をもたれているということをほんの小さな徴候から読み取っているでしょう。まさか赤裸々な恋の告白をされたり、情熱的な抱擁を受けて、はじめてそうだとお考えにはなりますまい。
人には気づかれないくらいのまなざしや、ちょっとした身のこなし、ほんの一秒くらいながく握手をするだけで、もう十分ではないでしょうか。また、もしみなさんが刑事として殺人事件を調べるとしたら、犯人が自分の写真に現住所を書き添えて現場に置いておくことを期待しますか。
そうではありますまい。みなさんは犯人の残した、薄弱な、はっきりしない犯跡だけでもよしとするでしょう。ですから、ほんの小さな徴候を軽んじてはならないのです。10中8・9までは、このほんの小さな証拠から重大なものの手がかりをえることができるからです。
だが、私も、みなさん同じく、世界や学問上の大問題が私どもの関心を第一にひく権利があると考えてはいます。ただ、これこれの大問題をさあこれから研究するぞ、と鳴り物入りで計画を立ててみてもあまり効果はないようです。
そう決心してみても、なにから始めればよいかわからないでしょう。学問上の仕事は身近にあるもの、すでに研究の道がそなわっているものから手を染めることのほうが期待がもてるものなのです。
小さな問題も大きな問題も、すべてはつながっているのですから、なんの予想もなんの期待ももたず、白紙の態度で研究を根本から始めても、幸運にさえ恵まれれば、まったく地味な研究からでも大問題の研究への糸口がひらけてきます。p84
さすが偉大なる近代心理学の祖・大フロイト。当ブログにおいて、難解を予想された「精神分析学入門」読書は、この一文を持って、すでに報われたといえるだろう。当ブログ「(暫定)カビール達の心理学」研究は、まずは、この大フロイトの金言をもって、正式なるスタートとする。
これまでの手掛かりもないでもない。追っかけるべき「犯人」が、自分の写真に現住所を書きそえて現場に置いていってくれなかった限り、当ブログでも「小さな徴候」から手探りで始めなくてはならない。そろそろ探偵学を学ぶ必要もでてきたようだ(笑)。
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