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2009/05/29

シッダールタ <1>

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「シッダールタ」 <1>
ヘルマン・ヘッセ , 高橋 健二 1971/02 新潮社 文庫: 164p
Vol.2 No.644★★★☆☆ ★★★★★ ★★★★★

ヘルマン・ヘッセ関連一覧

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「クヌルプ」 1970/11 新潮社 

「シッダールタ」 1971/02 新潮社

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 若い時、この「シッダルタ」を読んだ。インドに行く前に、いわゆるゴータマ・ブッダの姿を探して、いくつかの本を読んでいた。このヘッセの「シッダールタ」は、必ずしもゴータマ・ブッダの姿を書いたものではなかった。その辺に不満が残った。いくつかの他の本も読んだ。だが必ずしも、ゴータマ・ブッダを的確にとらえたものはなかった。ちょうどあの頃、手塚治虫の漫画「ブッダ」なども読んでいた。あれはあれで面白かったのだが、やっぱり本当の意味でのゴータマ・ブッダではなかった。

 あれからずっと旅は続いていた。あれから何度か、この小説を読んだ。そして今、またヘッセの「シッダールタ」を取り出して読んでみた。若い時は、この小説にゴータマ・ブッダを探そうとして見つけることができなかった。でも、今こうして読んでみて、その読み方そのものが間違っていたことに気がついた。この本はゴータマ・ブッダのライフストーリーを探すような本ではなかった。シッダールタやゴータマや、ゴーヴィンダ、あるいはカマーラ、カーマスワミ、ヴァズデーヴァなど、登場人物のすべては、ヘルマン・ヘッセ自身のことだった。

 この小説は2部に分かれていて、1部と2部の間にはギャップがある。時間的にも、意味的にも。若くして求道の旅をはじめるシッダルータ。まるでゾルバのような世俗の戻るシッダールタ。そしてさらに、まさにボーディサットヴァのような川守の仕事につくシッダールタ。旧友の、そうして、もう一人の自分としてのゴーヴィンダとの邂逅。

 「そうだ」とシッダールタは言った。「それを学び知ったとき、私は自分の生活をながめた。すると、これも川であった。少年シッダールタは、荘年シッダールタから、現実的なものによってではなく、影によって隔たれているにすぎなかった。シッダールタの前世も過去ではなかった。彼の死と、梵への復帰も未来ではなかった。何物も存在しなかった。何物も存在しないだろう。すべては存在する。すべては本質と現在を持っている」 p115

 この小説、あるいはヘッセに対するOshoの言及も興味深い。この小説、私には唐突に終わってしまったように見える。なにか未完成のように思う。この小説を若い時に読んだ。働き盛りの時に読んだ。そして今こうして読み、また、いつか、ヘッセが得たような老齢になった時に、またこの小説を読むだろう。その時、この小説は、また別な顔を見せてくれるに違いない。

 ヘッセについては「ガラス玉演戯」を読んだので、当ブログでもいろいろ読んだ気になっていたが、ほんのさわりだけだった。まだリストをつくるほどでもないが、散逸するといけないので、とりあえずのリストを作成しておく。

<2>につづく

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