大相撲殺人事件
「大相撲殺人事件」
小森健太朗 2004/02 角川春樹事務所 新書 236p
Vol.2 No.608★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
いやはや、あらゆることに「殺人事件」という接尾語をくっつければ、それなりのイメージができてくるからすごいものだ。ましてや、大相撲とくれば、駅のキヨスクにでも置いてあって、気軽に旅のお供に一冊読めてしまう、というスタイルだろうか。出版社も角川春樹事務所である。プロモーションをかけてもらえば、映画や音楽などと一緒にメディアミックスで、我らが小森健太朗も一気に流行作家の番付表の上位を狙うような作家にのし上がるのではないだろうか。
16歳で元祖「ローウェル城の密室」でデビューした頃が入門・序の口だとすると、「ミルダッドの書」や「漂泊者」あたりが序二段で、「ネメシスの哄笑」あたりで十両入り。「マヤ終末予言『夢見』の密室」あたりでは、すでに幕の内力士となっていたはずだ。
「Gの残影」は「グルジェフの残影」と改題されて再発売されるくらいだから、人びとの記憶に残る作家に成長しているのは間違いない。幕下から関脇、大関を狙う位置につけているのはまちがいない。
ここにきて「探偵小説の論理学」や「英文学の地下水脈」で、いよいよ更なる上を目指して、もち前の決め技を練り上げてきた。次に狙うは、大関、横綱の位置か。大相撲ファンには目が離せない場所が続く。おっと、「ミステリーファンには目が離せない」、だった。夢を大きくして、来場所を待とう。
ここにきて、一部の最新本と翻訳書や各評論などを残して、半数以上の小森本に目を通したことになる。リストを作っておく。
「ミルダッドの書」翻訳 1992/12
「漂泊者」翻訳 1993/05
「コミケ殺人事件」 1994/11
「ローウェル城の密室」1995/9
「ネヌウェンラーの密室」1996/01
「ネメシスの哄笑」1996/09
「バビロン 空中庭園の殺人」1997/04
「神の子の密室」1997/5
「眠れぬイヴの夢」1997/11
「マヤ終末予言 『夢見』の密室 」1999/04
「ターシャム・オルガヌム」解説 2000/06
「駒場の七つの迷宮」2000/08
「スパイダー・ワールド 賢者の塔」翻訳 2001/03
「スパイダー・ワールド 神秘のデルタ」翻訳 2001/12
「ムガール宮の密室」2002/08
「Gの残影」2003/03
「大相撲殺人事件」2004/02
「魔夢十夜」2006/06
「ファイロ・ヴァンスの犯罪事件簿」翻訳 2007/08
「探偵小説の論理学」2007/09
「星野君江の事件簿」2008/06
「スーフィズムをめぐる思想と闘争」小説現代増刊号「メフィスト」収録2009/01
「英文学の地下水脈」 2009/02
「人の子イエス カリール・ジブラーン」翻訳 2011/5
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