魔夢十夜
「魔夢十夜」
小森健太朗 2006/05 原書房 単行本 456p
Vol.2 No.609★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆
続いて読もうとして、この本も借りてきておいたら、何気なくこちらをチラッと見た我が家の奥さんが、「あら、これ私も読みたいわ」と来たもんだ。「あ、そう、ちょっと待っててね。こっちが読んだあとでね」と待たせておいたのだが、どうやら、彼女は自分用に別な図書館からこの「魔夢十夜」を借りてしまったらしい。現在、我が家には、この本が2冊ある。
なるほど、ここまで来ると、50の齢も遠に過ぎ、老眼鏡なしには一行も読めないようなむつけっき男が、いそいそと読むような内容ではないような気もしてくる。むしろミステリー好きの奥さん向きだ。中学校図書館の司書をしている彼女は、だいたいがこの本のあたりがテリトリーなのだ。
で、こちらはというと、ちょっと小説疲れがでてきて、すこしお休みしたい気分でございます。彼女が読み終わるのを待って、感想やらダイジェストを聞き出しながら、自分も折りを見て再読することにしよう。・・・と、熟年カップの対話は、ミステリー小説を媒介として、すこしづつ戻ってはきているのである。めでたし、めでたし。
文中になにやら気になる<イナーサークル>の文字がチラチラ見える。これは<インナーサークル>の変形か。この本、ブルーの表紙が洒落ていて、この色が彼女の気をひいた要因のひとつでもあるだろう。「魔夢十夜」なんてのも、妙なタイトルで、こんなところも彼女としては黙っていられないところだろう。
表紙のデザインはよく見ると、「駒場の七つの迷宮」に似ている。ひょっとすると、何かのトリックがすでにこの表紙に仕組まれているのか。巻末の「引用・参考文献」には、「錠前ハンドブック」と並んで「易経」のタイトルが見える。「易」なら私も一家言ある。文中になにやらタロットについてのくだりもあるぞ、この辺あたりも、言いたいことはいろいろある。
まぁ、そんなこんなではあるが、いずれこの小説は「探偵小説の論理学」や「英文学の地下水脈」とともに、小森ワールドの最近作として、見直しをかける必要がでてこよう。コリン・ウィルソンの訳書「スパイダー・ワールド」も気になるところ。いずれ、スパイラルの階梯を一段上げなければならない。
なにはともあれ、再見。
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