1Q84<2>
「1Q84 」book 1 book 2 <2>
村上春樹 2009/05 新潮社 単行本 554p 501p
No.661~662★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
ロードサイドのちょっと大きめの書店に、文房具を買うために入ったら、「1Q84」1,2があった。ほう、増刷が完了して出回っているのかな、と、あまり気にしなかったのだが、近所の同じような書店入ったら、こちらは「品切れです」との回答。これはと思い、さきほどの書店に戻って、この2冊を手に取った。
ようやく(笑)手にした話題本であるだけに、さっそく購入しようと思ったが、そこからは普段の賢明(爆)な消費者マインドに戻った。1890円*2の価値を、私はこの2冊の中に見つけることができるだろうか。すでに図書館にはリクエスト済みだ。あと数カ月は待たされるだろうけれど、いつかは読める。それまで待ってもいいのではないか。
私が買えば、奥さんも読むことになるので、費用は半減化する。値段はまぁまぁだ。しかし、読み終わったあと、これほどのハードカバー本を保存しておくのも、ちょっと億劫なことだ。BookOffにでも売ればいいのだろうが、そういう文化に我が家は慣れていない。購入した本は長く保存することになるだろう。
そんなこんなを考えながら、書店の店頭で立ち読みすることになった。小説を立ち読みしてもしかたないのだが、今はそれしかない。うろうろしているうちに、大事な仕事の用件を1件すっぽかしてしまっていた。ありゃぁ、失敗したなぁ、とタジタジだったが、私は私なりに考えた、ということにしておこう。
立ち読みをしてしまえば、後からゆっくり読むときの邪魔になるのではないだろうか、と思いつつ、どうせ、私の読み方では精読などしないのだから、これでいいじゃないか、という気持ちがないまぜになる。とにかくパラパラとめくり続ける。
ちらちらと目を通しているうちに、やっぱり主人公の一人天吾は1954年生まれであることを確認した。そして時代は1984年。30歳。この時代、私は私なりのストーリーを持っている。1949年生まれの当時35歳の村上春樹にごちゃごちゃ言われたくないな、などと、変なタイマン張っている自分がいることを発見し、ひとりで失笑した。
Vijayの日記をみると、1を読了してから、2を読了するまで10日ほどかかっている。これだけの大作である、それは当然であろう。そしてまた、そんなに急いで読んでしまっては、楽しみが減るというものである。それなりにゆっくり楽しむのが小説というものであろう。
文中に「カラマゾーフの兄弟」のことがでてきた。実は、この小説を今読んでいる。また別なところでは「不思議の国アリス」(鏡の国だったかな)もでてきた。そのほか、リンクさせようと思えば、あの団体、あの事件、あの人物、限りなく出て来て、時代を意識する作家・村上ハルキの姿とオーバーラップする部分も限りなくある。しかし、それらが必ずしも快適とは言えない。
ある集団の中で育った存在にリトル・ピープルというネーミングがついているようだが、どうも私には事実は小説より奇なりということがあたっているように思う。私にとっては、おなじような存在なら「My Life in Orage」のティム・ゲストのほうが、ずっとリアリティがある。
巻末に、文中では1984年になかった言葉が使われています、という内容のことわり書きがあった。時代の記録人の一人としてなら、この作家を認めざるをえないのだろうが、その時代を生きた一人の人間としては、どうしても他人の口を借りて表現してもらうことを、私はよしとはできない。拙くても、結果的に失敗であっても、ほとんど独り言であったとしても、結局は、自分の口で語りたい。お手軽に消費されるエンタテイメントでは、満足できない。
などと思いつつ、明日になれば、さっそくあの書店に行って2冊とも買ってくるかもしれない。まだ残っていれば、だが・・・・。
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