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2009/06/20

ヤーコブ・ベーメの召命

ヘルマン・ヘッセ全集(第11巻)
「ヘルマン・ヘッセ全集」第11巻 <1> ヤーコブ・ベーメの召命
ヘルマン・ヘッセ /日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会 2006/04 臨川書店 全集・双書 346p
Vol.2 No.671★★☆☆☆ ★★★★☆ ★★★★★

全16巻の全集で、昨年「第44回日本翻訳出版文化賞」を受賞した。造本もしっかりしており、白と緑を基調としたデザインも、清楚なヘッセによく似あう。ゆっくりヘッセの世界に遊ぶには最適な新刊。今回はOsho「私が愛した本」のなかの「ヤコブ・ベーメ」を探していてこの本と出会った。もともとは1922年にヘッセが「新チューリッヒ新聞」に発表した記事で、3頁ほどの小さなコメントだ。

 中世末以来、その人生において精神的な召命が、昔の聖者の時代の伝説のようにわかりやすく美しい比喩的な言葉で述べられている人たちについての記録はもう非常にまれにしか見られない。それでわれわれは、日常生活の事柄が変容した新たな輝かしい意味を持って蘇るような、あるすばらしい物語に耳を傾けようと思う。その珍しい例とはドイツの哲学者、ゲルリッツの靴職人ヤーコブ・ベーメの召命であり、アブラハム・フォン・フランケンベルクの手記によって伝えられているものである。p326

 Oshoは、ベーメについてやはり3頁にわたって述べている。

 ベーメが言っていることはわずかだ。ほんの少しだ。彼にはたくさんのことは言えなかった。だが恐れることはない。私が言及しておきたいひとつは、「ハートこそ神の寺院」ということだ。ベーメ、その通りだ。それはハートだ、頭ではない。「私が愛した本」p126

 ヤコブ・ベーメが37歳のときに初めて書いた本で、しかも代表作と目される本は「黎明(アウロラ)」という一冊になっている。

 35歳になってはじめて、神の光に触れられたこの体験が、彼の心の中で非常に強く蘇ったので、このことを決して忘れないために、最初の啓示の光の内容を、本に書き記しはじめた。そして1612年に最初の本が完成した。彼はそれを「黎明」と名付けた。p328

 当ブログではベーメを「神秘主義」ジャンルに分けたが、「キリスト教」ジャンルに入るべき一冊かも知れない。

<2>につづく

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