スピリチュアリティの社会学
「スピリチュアリティの社会学」 現代世界の宗教性の探求
伊藤雅之他 2004/11 世界思想社 全集・双書 281p
Vol.2 No.678★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
当ブログにおいては、「OSHO/gnu0.0.2のための21冊」の中の一冊として「現代社会とスピリチュアリティ」を選びながら、なかなか道筋はこちらのほうにはやってこなかった。インターネット上ののブログという形態と、宗教社会学という「学問」の世界がいまいち整合しないせいでなかろうか、と思う。同じ著者によるこの「スピリチュアリティの社会学」も前々から気にはなっていたのだが、たまたま手にとったので、ここですこし触れておく。
とは言っても、この本は三人の著者による共著なので、触れなくてはならない点はいくつかあるのだが、今回は、他のお二方については割愛し、お一人の文章に留意しておく。そうとなれば、目を通すべきは「新しいスピリチュアリティ文化の生成と発展」の12頁と、「グローバル文化とローカル性の<あいだ>」の30頁だけ、ということになる。
前部に関しては、網羅的な日本の精神世界の発展プロセスの把握だから、取り立てて特筆すべきものでもない。あえて当ブログとしてメモしておくべきは、第4章の「和尚ラジニーシ・ムーブメントの事例」という副題をもつ一稿であろう。
この一稿の成立には、いささかなりといえ関与した手前、なかなか客観的に評価できない部分もあるが、すくなくともこの現代日本においては、この研究に類書はない。批判は批判として存在するとしても、この研究の価値は、もっと時代が下った地点で発揮される可能性がある。
すくなくとも模索期のサニヤシンたちはORMメンバーとしての特権意識をもち、パートナーや友人関係も同じサニヤシンに限られる傾向が強い。その結果として、彼/彼女らは世界各地に点在し、共同体を形成しているわけではないにもかかわらず、当事者の意識レベルではきわめて高い凝縮性を示すことになる。換言すれば、模索期のサニヤシンはORMという宗教集団の一員として理解できるのである。p95
ここで言われているORMとは、和尚ラジニーシ・ムーブメントのこと。ふ~~~。ORMという言葉使いはここだけの世界だ。それはそれでいいだろう。しかし、どうもラベリングと内容に齟齬が存在するような気もする。
この後半の部分については、仮名とはいえ、実在するサニヤシン達が何人も登場する。その調査に協力した立場として、そのうちの何人もの実態を知っている。中にはすでにサニヤシンではなくなっている人々が存在する。
だいたいにおいて、この調査は90年代前半のものである。2004年に発表になったとしても、すでに10年遅い。この調査の発表がここまでずれ込んだことには、それなりの理由があろうが、すくなくともいわゆるORMの一面を切り取ってはいるだろうが、全面的な反映とはなっていないことだけは確認しておかなくてはならない。
しかしまた、このような調査の存在は稀有なことなので、一面的であったとしても、この調査研究の価値は、非常に貴重であることにも疑いはない。
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