螢・納屋を焼く・その他の短編
「螢・納屋を焼く・その他の短編」
村上 春樹 1987/09 新潮社 文庫: 189p
No.654 ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆
これも子供たちが残していった文庫本なのだが、アレレ・・・という現象が。
昔々、といってもたかだか14・5年前のことなのだけれど、僕はある学生寮に住んでいた。僕はその頃18で、大学に入ったばかりだった。東京の地理にはまったくといいくらい不案内だったし、おまけにそれまで一人暮しの経験もなかったので、親が心配してその寮をみつけてくれた。p9
と、出だしがあれば、あれ~、これじゃぁ、「ノルウェイの森」じゃん・・と、?マークで私の脳みそが満杯になった。
昔々、といってもせいぜい20年ぐらい前のことなのだけれど、僕はある学生寮に住んでいた。僕は18で、大学に入ったばかりだった。東京のことなんて何ひとつ知らなかったし、一人暮らしをするのも初めてだったので、親が心配してその寮をみつけてきてくれた。「ノルウェイの森」第二章
これって、別人の作品ならもちろん盗作とか贋作ということになってしまうのだろうが、ひとりの作家の短編と長編の一部ということなのだから、これもありかな、と思うが、出版社としては、1粒で2個おいしい、ということか・・・? ふむ~・・・。まさか英語で書いて、別々の翻訳家が日本語に訳した、ということもでもないんだろうがなぁ。
出版年に合わせて、14・5年前、というところを20年前ぐらい、としたりして、下心見え見えで、アンチ小説ファン(笑)としては、なんだかな~、というちょっと白けた気分。せっかく村上作品を読みすすめてみようと思ったのに、またまた試練が待っていた。これじゃぁ、まともに対応しようとしている自分がアホらしく見えてくる。
で、今日もテレビのワイドショーで「1Q84」ネタばらしをやっていた。主なる登場人物は4人。天吾という塾講師(実はゴーストライター)と青豆(天吾の10代からの友だちの女性だが、実は暗殺者)、そして10代のアイドル(だったかな? 変な言葉使いをする)と、富豪老夫人(暗殺の依頼者)の4人。二つのストーリーが別々に進行し、やがてシンクロすることによって、新たなストーリーが展開するという。そして、そこに登場するのが謎のカルト教団の教祖だとか。
ふむ~、ここまでテレビでネタばらししてしまっていいのかな、と思うが、テレビ出演者たちですでに「1Q84」を読んでしまった人物たちは、「大丈夫、大丈夫」と言っていたから、全体としては、この程度のさわりからは想像できないような展開を見せているのだろう。まずはそう願いたい。
で、彼らのコメントのなかで気になったのは、「現在55歳の主人公はどうなっているのでしょうか?」 などというつぶやきだった。おいおい、それはそれは私の年代ではないか。1Q84を1984年と読み替えることができるとすれば、たしかにあの年代、私にも見おぼえのあるストーリーがある。やはり、これは早めにチェックして、世の中の流れに乗っていかなければならないかな。とにかく、世の中の100万人はすでに読んでいるんだから。
と、図書館リクエストの順番を見てみると、先日よりは少し減ったが、それでもまだあと345人ほどが前に並んでいる。ああ、これでは、私の番にくるのはいつになるかわかったものではない。書店に行って買い求めようとも思ったが、すでに1巻は売り切れとか。2巻から読むのも変な話だが、当ブログのスタイルではありかな?
などなど、核ミサイルやパンデミックの話題よりも、小説をみんなでワイワイ読んでいるほうが平和だとは思うがな~。でも、小説を読んだからと言って、核ミサイルもパンデミックもなくならないわけだから、痛し痒しじゃ。
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コメント
suganokei さん
私の場合は、彼の作品をちょとしか読んでいなくて、しかも数日以内に二つの小説を読んだので気付いたのかもしれませんね。
いずれにしても、誰の人生においても、18歳前後のハイティーンの時代は、なんどもなんども思い出してしまうような、なんでもありの怒涛の時代なのでしょうね。
小説がスタートする舞台装置としては、もっともやりやすいかも。
投稿: Bhavesh | 2009/06/23 17:13
ぼくは村上春樹わりと好きなので両方読んでますが、ここまで露骨な自己「剽窃」があるとは気づきませんでした。
芸術家としての信条の問題ではありましょうが、ちょっとかっこ悪い気がしますね。
同じ設定を使うにしてもちゃんと文章変えろよ、みたいな(笑)。
投稿: suganokei | 2009/06/23 11:52
vijay さん
なるほど、そういうことなのか。いちいち目くじらをたてずに慣れていく必要がありますね。
海辺のカフカやら、ねじまき鳥やら、いろいろあるようなので、気長につきあってみようと思います。
投稿: Bhavesh | 2009/06/11 20:32
たぶん村上春樹という人は、短編や翻訳を何本も書きながら、文体の練習やストリーを練って、それが何年間も寄り集まって、何年に一回長編を書くのだと思います。だから今話題の「1Q84」にしても、それ以前の(長編前作 海辺のカフカ以後の)短編や翻訳本に、ああ、あれを習作にして、この小説のこの章は書いてるのかな?と思わせるものがちらほらあります。この「螢・納屋を焼く・その他の短編」は当然、ノルウェイの森の具材になったのでしょうね。他の作家もそういう人は多いのかな?短編を書き溜めて、何年間に一回長編を書く人はそういうものなのかしら。大江健三郎なんかもそうだったかしら。もう長い間、読んでないので忘れました。
投稿: vijay | 2009/06/11 14:13