Let go!<2>
「Let go!」 Theory and practice of detachment according Translated to zen. <2>
Hubert Benoit (著) 1977/02 ペーパーバック 出版社: Red Wheel/Weiser 277p 言語 英語
いつもは寝っ転がって本を読むことをよしとしているので、図書館で受験生たちに交じって、背筋を伸ばしながら本を読むのは私のスタイルではない。調べ物をしてメモを取るのならともかく、ただ本を読むだけならテーブルさえも邪魔だ。
そこで一案、考えた。館内貸出を受けたあと、視聴覚コーナーに移り、ビデオを借りる。そして、スクリーンを見るような体制を造りながら、実は本を読むのである。もちろん、目的はリクライニング・シート。スペースは広くとってあり、実にリラックスできる。よく見ると、眠っている人たちさえいる。隣の席も離れているし、大体において、みんなヘッドフォンをかけているので、となりの音も気にならない。
そこで視聴覚コーナーで、おなじみ「その男ゾルバ」を借りて、まじめ(笑)にゾルバを見ているふりをして、ふんぞり返って、「Let Go!」をめくり始めた。いやはや、聖書を読んでいるふりをしてポルノグラフィーを見ている、という話は聞いたことあるけど、今日の私は、ゾルバを見ているふりをしながら、Zen書を読む、ということにあいなってしまった。
このユベール・ブノアという男---私は彼の第一作「手放し(レット・ゴー)」については触れたことがある。実際はあれは彼の二番目の著書だった。「手放し」を書く前に、彼はもう一冊「至高の教義」とよばれる本を書いていた。この本も加えておきたい。さもなければ、それに言及しなかったことで私はひどく辛い思いをするだろう。それは途方もなく美しい本だ。だが読むのはむずかしい。そして理解するのはもっとずっとむずかしい。だがブノアは、それを可能なかぎり簡明にするために最善を尽くした。Osho「私が愛した本」p96
当ブログにおいては、ユベール・ブノアの「至高の教義」は「西洋哲学」編に振り分けておいた。このタイトルからして、どうも禅コーナーにおいておくのは不似合いだと思ったからだった。いやいや、この「Let Go!」だって、正直いうと「禅」編にいれておくものどうかと思う。1954年にフランス語で書かれ、1962に英語に翻訳されたこの本も、必ずしも、当ブログが求めているZen本とは言い難い。たしかにテーマはZenでサブタイトルにもその文字が入っている限りは、そのジャンルに紛れ込んだとしてもしかたがないが、Oshoが「近代西洋世界に出現した最上の本だ」と絶賛することには承服しかねる。
The "fluctuation of the soul", of which Spinoza speaks, supposes these two poles --my desire and my rehusal to experience. p27
突然、スピノザの文字が飛び込んできてぎょっとした。アントニオ・ネグリがやたらとスピノザを出すので、その書を手にとってみたが、周辺記事からはかなり興味を持つのだが、その「エチカ」をはじめとするスピノザの著書はどうも読み込めない。好きじゃない、と言ってしまうのはちょっと違うし、難しすぎる、と白旗を立てるには、ちょっと早すぎる。いまは手取り早く、後回し、という位置にある。この手の本には、スピノザの他に、チベット密教の中興の祖ツォンカパや、ウィトゲンシュタインがいる。彼らは面白そうなのだが、後回し。そんなことを言っているうちに読むチャンスを失うかもしれないが、当ブログの読書スタイルにはこの三者ともあまりそぐわないところがある。
いずれにせよ、このユベール・ブノアの「The supreme doctrine : psychological encounters in Zen thought 」もめくってみないことには、このフランス人の存在の意味がわからないであろうが、どうも気が進まない。欧米人に向けての禅文化の理解、というだけなら、あえて読まないでもパスしてもいいのではないだろうか、と一人合点してしまいそうだ。
裏でゾルバがいいことしているのに、この本を見ながら、マインドがきゅるきゅるしている自分が可笑しい。結局は、この本の結論としていわんとしていることは、Let Go!ってことでしょう。だったら、面倒くさいこと言っていないで、まずはそうやっちゃったほうが早いんではないでしょうか。
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