自分を活かす色、癒す色
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「自分を活かす色、癒す色」 至福の色彩学
末永蒼生 1998/11 東洋経済新報社 単行本 213p
Vol.2 No732★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆
60年代の終わりを締めくくったのが「サイケデリックブーム」だ。「サイケデリック」とは、直訳すれば「意識の拡張」といった意味。当時のアーティストたちが試みたドラッグや瞑想によって生じる幻覚状態や感覚体験をサイケデリックと呼び、そのときに知覚できるという極彩色や蛍光色の抽象模様を、ポスターやレコードジャケット、Tシャツなどの図案に用いる若者の風俗をひっくるめて、「サイケ調」、「サイケ族」などと呼んだ。p79
思えば、当ブログ、昨年の今頃は「サイケデリック・シンドローム」を読んでいた。どうやら夏になって、むしむししてくると、サイケが恋しくなるらしい。
学生運動が激化する中で、現実の秩序への反発と逃避、デモの熱狂と混沌など、さまざまなエレメントが引き金となって、目眩にも似たサイケ調の色彩文化が求められたのだろう。
90年代以降、再び60~70年代の流行が復活しつつある。若者たちにとってそれは新しいファッションかもしれないが、当時を知る者にとってはスタイルの模倣だけが目につき、色彩はまったく冴えない。あの、ドキドキ、わくわくさせる、ハレーションを起こしそうな色彩のインパクトがないのである。やはりあの色は、ホットな時代だからこそ生まれてきた、あのときだけの眩惑の色だったのかもしれない。p79
わたしも、心の中では「あの、ドキドキ、わくわくさせる、ハレーションを起こしそうな」時代を忘れることができない。そして、その時代と著者を重ね合わせて、考えているところがある。だから「心を元気にする」などというコピーでは、どうも納得できないのである。
この本、1998年発行である。当時のカラー・コーディネイトなどのブームもあったのだろうが、例の忌まわしい事件の直後であるのに、この本は頑張っていると思う。いや、あの時代だからこそ、直接的な「カゲキ」な方向性よりも、ソフトでデリカシーを必要とする色彩学が時代の渇きをいやしたのだろう。
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