万葉恋歌 あぁ,君待つと
小林幸子 (アーティスト, 演奏), 額田王 (その他), 磐姫皇后 (その他), 播磨娘子 (その他), 新井満 (作曲)
Vol.2 No712★★★★☆ ★★★★★ ★★★☆☆
図書館にいくといろいろな企画のチラシが備えられている。その企画の一つに新井満の講演会があったので、予約しておいた。新井満については「自由訳 老子」や「自由訳 十牛図」、「自由訳 般若心経」、「自由訳 イマジン」などをめくってみた。もちろん、新井満と言ったら、「千の風になって」の大ヒットの生みの親ということで一躍脚光をあびるようになった存在だ。
その新井満が新曲「万葉恋歌 あぁ,君待つと」の誕生の経過とその真実を話した。その苦労話などはここに書く必要もあるまい。あえていうなら、「千の風になって」がネイティブ・ピーポーの歌がもとになっているように、こちらは日本の古典「万葉集」がもとになっているところがキーポイントだ。
万葉とはいうものの、約四千何百首のなかから抽出された3人の歌い手による、5首の歌からこの「万葉恋歌」はなっている。いままではわりと「自由」に訳してきた新井満だが、万葉集については、リフレインとか感嘆詞以外は、万葉言葉そのものを変えないことを原則としたという。
万葉の言葉を「翻訳」せず、ダイレクトにその万葉のこころを現代に、21世紀に、このブローバル社会に伝えようとする試みは、おおいに賛成できる。そしてその試みは成功したのではないだろうか。新井満自身がステージで本邦初公開の「万葉恋歌 あぁ,君待つと」を披露した。その歌を聞いていて、うん、他の万葉歌も読んでみたいな、と思った。
この歌はすで、他の歌手によってCD発売されているというし、ひょっとすると、今年の紅白歌合戦のステージで歌われることになるかもしれない。だけど、あのちょっとお化け衣装で歌われるのかと思うと、ぎょっとするところもなきにしもあらずだが。
ついでながら、続いて「鉄道員(ぽっぽや)」の浅田次郎が講演した。こちらのステージもそれなりに興味深かったが、やや体育会系の「ふり」をする彼の論旨には賛同できかねるところもあった。だがひとつだけ、気にいったのは、「小説家は同じ文章を作品のなかに書いてはいけない。同じフレーズでさえ使ってはいけない。それは二度売りと言って、やってはいけないことだ」というところだ。
先日、村上春樹の小説を読んでいて、 ん? と思ったばかりだったから、留飲が落ちた。ただ、浅田次郎の「講演」そのものは、自分でも言っていたが、何回も使いまわした定番ネタのオンパレードだったようだが(笑)。
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