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2009/07/02

パンデミック・フルー襲来

パンデミック・フルー襲来
「パンデミック・フルー襲来」 これが新型インフルエンザの脅威だ
木村良一 2009/03  産經新聞出版 /扶桑社 新書 221p
Vol.2 No.695★★★☆☆ ★★★★☆ ★☆☆☆☆

 図書館では、漫然と図書を並べているわけではなく、さまざまな業務やサービス、企画を行っている。そのひとつに、テーマ別に本を紹介することで、宇宙旅行とか、年金とか、オバマとか、その時々の話題に合わせて、図書館内にある本を集めて展示してくれていることがある。AVや写真集などが一緒に並んでいることもある。

 今回のテーマは「新型インフルエンザ」。ざっとみただけで20数種の文献が並んでいた。貸し出し可能なので、すでに誰かが借りていった本もあるだろうから、もっともっと関連本があるのだろう。今回、私は、お手軽に読めそうな新書本3冊を借りてきた。

 2009年型インフルエンザ(H1N1)は、メキシコで今年春に発生して以来、すでにWHOはフェーズ6の大流行期に入っていると警告を発している。一時は日本国内でも大変な話題だったが、その流行はすでに各都道府県に及び、私の住むしないにおいても複数の経路でじわじわと日常の話題になっている。

 手洗い、うがいを励行し、外出を控え、マスクを活用する、という対策はすでに行きわたっているとは思われるが、ニュースが一段落すると、対策も甘くなる。我が家でも、マスク、うがい薬、手洗い用洗剤の備蓄は完了しているが、この程度のことでは、いずれ、この感染が我が家にも及ぶことは容易に想像できる。

 38度を超える体温がでる状態になると、体はだるくなり、とにかく日常生活はできなくなる。先年私もインフルエンザにかかったことがある。その時はなんと、体温が40度を突破した。二つの体温計で測ったのだから、間違いない。タミフルを投与してもらい、幸いに数日寝込んだだけでなんとか日常業務に復帰したが、それでもその体調不良はその後、一か月ほど続いた。その体験をもとに、毎年秋口にはワクチン注射をしてもらうことにした。

 「パンデミック・フルー襲来」は、ジャーナリストが書いた小説。とはいうものの事実に基づいて書かれているので、新型インフルエンザをとりまく状況が分かりやすく、全体を手っ取り早く把握できる。1985年から物語は始まるが、今年3月にでた本だから、今話題のH1N1については触れられていない。しかし、すでにその登場は完全に預言されていたものであることがわかる。

 

ウイルスパニック
「ウイルスパニック」新型インフルエンザ、大感染の恐怖
皆川正夫 2008/11毎日コミュニケーションズ 新書 213p
Vol.2 No.696★★★☆☆ ★★★☆☆ ★☆☆☆☆

 知人の青年がこの4月から行政の「危機管理室」に配置転換になった。そのとたん、北朝鮮のミサイル対策に追われるは、大規模な山火事は発生するは、老人医療施設におけるとんでもない事態が発生するはで、てんやわんやの模様である。一市民としては、自らに降りかかってこなければ、ノー天気で過ごしているが、いざ行政の「危機管理室」的な視点から見ていると、私たちの生活空間には、実にさまざまなことが起こり続けているものだなぁ、と驚いてしまった。

 「ウイルスパニック」。医療/科学ジャーナリストによるレポートだが、一市民レベルでは、公衆衛生に対する対策など、考えられることなど実に限られたものでしかない。過去においても人類をおそったウィルスパニックはさまざまあったに違いない。「1481」などを読むと、ネイティブピーポーが壊滅的に減少したのは、まさに「旧大陸」から持ちこまれたウイルスパニックも大きな要因になったようであるし、たとえばノストラダムスの時代のペスト騒動をも連想する。

 人類が進化して、次第に生活空間もグローバル化するということは、このようなウイルスパニックを体験し続けることをも意味することにもなるのか、と、あらためてその大自然のメカニズムの大掛かりなシステムに驚かされる。科学者や医療技術者の考えてくれる対策に依存するしかない一市民の立場ではあるが、その実態をより正確に把握し、その対策に協力すうr姿勢は必要であろう。

新型インフルエンザ
「新型インフルエンザ」世界がふるえる日
山本太郎 2006/09 岩波書店 新書 181p
Vol.2 No.697★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★☆☆☆☆

 こちらは2006年発行と、ちょっと古めだが、今思えば狂牛病だの鳥インフルエンザだのと、他の生物圏の話のように思っていたが、とにかくごくごく身近なところで、すでにこのような状態が進行していたのだ、ということを知らされる。開発途上国の感染対策などに従事してきた医師によるレポート。

 人類を襲う危機は、なにも新型インフルエンザに限るものではないが、このような危機の連続にあって、今日この命があることに感謝することを忘れがちになる。危機は危機として対処しつつも、人間が人間らしく生きるとは、どういうことか、考えることも重要だ。

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