よく生きる智慧
「よく生きる智慧」完全新訳版『預言者』
柳澤 桂子 (著) 2008/12/2 小学館 単行本: 192p
Vol.2 No714★☆☆☆☆ ★☆☆☆☆ ★☆☆☆☆
先日、「Three Pillars of Zen」を読んでから、カリール・ジブランの「預言者」が気になっていた。
あなた方はいっしょに生まれ、
これからも永久にいっしょに過ごすのだ。
死の白い翼があなた方の人生を破壊するときも、
あなた方はいっしょにいるのだ。
ああ、あなた方は主の沈黙の記憶のなかでさえもいっしょなのだ。
しかし、あなた方は二人のあいだに透き間を作っておきなさい。
そして天の風があなた方のあいだを縫って踊れるようにしておきなさい。
おたがいに愛し合いなさい。
けれども愛で動きが取れないようになってはいけない。
むしろ愛を海にしておいて、その潮があなた方の岸辺のあいだを
流れるようにしておきなさい。
おたがいのコップを満たしなさい。 p50 「結婚について」
この本、 カリール・ジブランの「預言者」の「完全新訳版」という触れこみだが、はて、「完全新訳」したからと言って、なにがいいのかな。いままでもさまざまな翻訳を読んできた。いままでも結構啓発されてきた。いま、あたらしい翻訳がでても、私自身は、だから? とちょっと冷やかな気分。
ましてや、この部分の翻訳のイメージがすこし違ってきた。所詮、詩は詩なので、そのまま読んで感じれば、それでいいのだが、どうも、なんでもかんでもOk、という受け入れ態勢ができているわけではない。
この本、柳澤桂子の本なのか、カリール・ジブランの翻訳本なのか、あるいは柳澤桂子の「自由訳」なのか、わからない。「完全新訳」とは一体何なのか、疑問が湧いてくる。所詮は、ジブランの作品である。限界がないわけではない。「完全」とか「新」とか言わないで、そこまでいうなら、いっそ、ご自分の歌を歌ったらどうだろうか。故人の作品をごちゃごちゃいじることもないんではないかな。
おっと忘れてはいけない。つまり「禅の三本柱」を読んでいて、へんな建物だなぁ、と思ったことがきっかけであった。日本には三本柱の建物はほとんどないのではないか。三本足の鳥居は聞いたことがある。三本足の台もある。だけど、三本柱で成り立っているお寺も家もないのではないだろうか。
そして思い出したのが、このジブランの「結婚」のところであった。二人は二つの柱のように離れて立ちなさい、という表現がとても素敵だったので、何度も思い出していたのだが、よくよく考えてみれば、二本柱の建物もない。そもそもその空間が大事なのだ。だから「禅の三本柱」においても、その柱ばかりが強調されてしまったら、可笑しなことになってしまうのは自明の理だ。ようは、そこに作られる空間こそが強調されるべきなのであった。
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