カラマーゾフの兄弟<2>
「カラマーゾフの兄弟」5(エピローグ別巻))
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー /亀山郁夫 2007/07 光文社 文庫 365p
Vol.2 No745★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
以前より手元にある新潮社版を読もうと思っていたが、急きょ変更して、こちらの新しい光文社版を読む進めることにした。訳者は、東京外語大の学長とか。新潮社版は3冊組だが、こちらは5冊組み。5巻目はエピローグになっているが、そのほか「ドストエフスキーの生涯」、「年譜」、そして「解題『父』を『殺した』はだれか」という長文の解説がついている。
カラマーゾフの兄弟は、しばしば真(イワン)、善(アレクセイ)、美(ドミートリー)の体現者であると言い方がなされるが、右の三層構造に照らした場合、象徴層(二元論)の主人公はアリョーシャであり、物語層(多声性)の主人公はドミートリー、中間部、すなわち自伝層(独白)の主人公はイワンということができる。5巻p224
ロシアの文学はそもそも名前を覚えにくいのに、さらにまた、多くの登場人物がいる。さらには、同じ人物に対してニックネームまで使っている。ここではカラマーゾフ家の三男アレクセイは、アリョーシャとも呼ばれているので、ますますややこしい。
それでも、これらの解説やら、「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」をガイド・ブックとしながら、1巻もだいぶ読み進んだ。集中して読めば、一時間に60ページほど読めるようだが、その集中も長くはつづかない。この小説を読了するのにどれだけ時間がかかるのか、計り知れないが、それでも、ここは、小説部門の代表格であるこの本をまずはめくりきるしかなかろう、と覚悟を決めた。
なるほど、真、善、美、などのシンボリズムを使いながら、さらに三層構造や5巻183pの「物語のダイアグラム」などを参考にしてみると、すこしづつ全体像が見えてきた。図書館には、この他にも「解説本」があったので、別に数冊借りてきた。
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