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2009/08/09

カラマーゾフの兄弟<8>

<7>よりつづく 

カラマーゾフの兄弟(4)
「カラマーゾフの兄弟」(4) <8>
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー /亀山郁夫 2007/07 光文社 文庫 700p
Vol.2 No749★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆

 ゾシマ長老の自然死、フョードルの被殺人、という二つの「死」に対応させるとするなら、スネギリョフ二等大尉にとっての息子(イリューシャ)の「死」が登場してくるだろう。そして、3、ないし、4、というシンボル数から考えると、もうひとつの「死」が必要となる。そして、対応構造から考えると、次男イワンにまつわる「死」ということになる。

 イワンの図地反転としての「大審問官」はもともと昔の存在であるし、「死」を超越している雰囲気がある。姿を消しているイワンにまつわる「死」となると、そして他の3つの「死」とは別なスタイルの死となると、あと残るは「自殺」ということになるか。

 星型二重四面体は、4つの頂点が2組あるので、8つの頂点となるが、この小説もそうだが、ドストエフスキーは12という数字にこだわった。もし、もうひとつの正四面体があるとするなら、この小説の登場人物から考えれば、一群の女性群ということになるだろう。一読者としての好みもあったが、19世紀のロシアの環境を考えるとしかたないのかもしれないが、作者の描く女性観には、いまひとつ納得感がない。 

グルーシェニカ・・・・妖艶な美人。フョードルの死後、ミーチャと愛し合う。

カテリーナ・・・・知的な美人。ミーチャの元婚約者。

リーザ(リーズ)・・・・ホフラコーワ婦人の娘。アリョーシャとの婚約を解消。

ニーノチカ・・・・イリューシャの姉。

ホフラコーワ婦人・・・・町の裕福な未亡人。  「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」 p12より抜粋

 この女性群が構成するだろう、四面体というものは、今はあまりイメージできないが、暫定的に、線を引いておけば、

父フョードル----グルーシェニカ

長男ドミートリー ----カテリーナ

次男イワン----ホフラコーワ婦人

三男アレクセイ----リーザ(リーズ)

ということになるのだろうか。ニーノチカ・・・・イリューシャの姉は、一群の少年たちに属するのか、あるいは、スネギリョフ大尉家の中におけるさらに小さな四面体の構成要素となるのであろうか。それにしても、正四面体が3つ存在するとなると、簡素な星型二重正四面体ということでないことになる。組み込み方を再考する必要がある。

<9>につづく

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