カラマーゾフの兄弟<9>
「カラマーゾフの兄弟」(4) <9>
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー /亀山郁夫 2007/07 光文社 文庫 700p
これだけ有名な古典的な大小説について、ネタばれなどという心配はないだろうから、さっさとここは、思いついたことだけをメモしていく。
第4巻前半まで読み進めていて、この小説に「不足」しているのは、「自殺」であるし、その「死」の要素が明確になっていないのは次男イワン----大審問官ラインであった。しかし、第4巻を3分の2まで読み進めてみると、実際に自殺したのは、下男スメルジャコフであったが、やっぱり、その事実を突きつけられたのは、イワンその人だった。第4巻の大団円、そして第5巻のエピローグにおいて、さて、イワンはどうなっていくのかまだ予断を許さないが、しかし、予想は当たらずとも遠からずの範囲にあった。
「11月初め。フョードル殺害犯として逮捕されたミーチャのまわりで、さまざまな人々が動き出す。アリョーシャと少年たちは病気のだちを見舞い、イワンはスメルジャコフと会って事件の「真相」を究明しようとする。そして裁判で下された驚愕の判決。ロシアの民衆の真意とは何か!」 第5巻 裏表紙 キャッチコピー
第4巻は、例によって3編構成だが、この巻一冊だけでなんと700ページある。通常なら、この長さのなかに小説の2つや3つも軽く入ってしまうほどだ。なんでまたこれほどまでに、微に入り細に入り感情過多の表現を続けなくてはならないのか、いまだに疑問ではあるが、そろそろこの小説をひととおり目を通す位置まできた。
ここまでくれば、なんとかあとは結末への関心を維持しながら、なんとか最後まで読み切ることはできるであろう。各巻末の読書ガイドも役立ったが、それぞれの解説本にも助けられた。Oshoの「私が愛した本」168冊のほぼ頂点に位置している本でもある。当ブログとしては、この小説をさけては通れないという、義務感、いやいや、目標地点でもあった。
この小説が終わっても、まだトルストイの3冊が残っているので、それを考えると、ちょっと気は思いが、それでも、すこしは小説というやつをなんとか読みとおすコツみたいなものをひとつつかんだ気がする。
1)翻訳本は、最新版を採用すべし。
2)解説本は適時活用すべし。
3)読むなら、間髪をいれずに一気に読むべし。
4)登場人物はメモして、何度も確認すべし。
5)四の五の言わず、ひたすら頁をめくるべし。
6)一期一会。そうそう読み返す機会もないだろう。心して読むべし。
7)ひたすら浸るべし。
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