オバマのグリーン・ニューディール<2>
<1>よりつづく
「オバマのグリーン・ニューディール」 <2>
山家公雄 2009/04 日本経済新聞出版社 単行本 237p
Vol.2 No765★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
著者の知人のITの専門家は、米国におけるバッテリー、電気自動車の盛り上がりについて、次のような乾燥を口にした。「この動きは、かつてエレクトロニクス業界、IT業界で、大型コンピュータからパソコンへ、アナログからデジタルへ移行した際に生じた動きと似ている。モジュール化、標準化の動きを思い出させる。部品化が標準化して、そこで競い合い、組み立ては誰にでもできるようになるのではないか。そうすると、劇的にコストが下がる可能性がある」 p005
単に政治問題とか、高い倫理観の目標ばかりが取り上げられると辟易してくるが、インターネットやパソコンなどの話題とリンクさせた形で環境問題を考えることは、わかりやすく、ワクワクしてくるものがある。
オバマ大統領は、「2020年までにCO2の増加率を1990年比でゼロに抑える」としている。温暖化問題に真剣に向かい合うものと評価される一方で、欧州からは甘い目標との批判も出ている。この一見緩く見える目標には、石炭を活用しつつエネルギーシステムを変えることで排出を削減していくという狙いも透けて見える。p087
国連において鳩山新首相はこのレベルでいえば、マイナス25%を宣言したわけだが、そのくらいのインパクトは必要だろう。2007年にノーベル平和賞を受賞したアル・ゴアだったが、その著書「不都合な真実」が大きな話題になったが、その温暖化問題の解決策として、原子力発電所の建設推進を大きく主張したところに、かなりの矛盾が存在していた。本当のグリーン・ニューディールとはどこにあるのだろう。
コンピュータ時代、IT化の進展は、この傾向に拍車をかける。パソコンやコンピュータ制御(IT化)された情報家電は、直流を使用する。IT化におり、デジタル化された膨大な情報をストックする「バックアップセンター」が続々と整備されているが、これが大量の電気を消費する。p104
グーグルのデータセンターが多く建設されていることが知られている。実際には分散化されて、米国のどこに建築されているかは秘密にされているようだが、これらの膨大なデータをストックしておくために、発熱設備が次々と建築されているのだ、これは大きな問題だ。
当ブログもロクでもない記録を残すだけならわずかに数冊の帳面で済むだろうに、ブログという形態を取っているために、この発熱に加速をかけているのである。もちろん、用意で無駄な検索も発熱現象に加担していることになる。これからは、利用者も十分その編も考えていかなくてはならなくなるだろう。
我々米国人は、節約とか省エネとかを、自らの意思で実行することは苦手だ。日本人みたいに、「もったいない」という意識は強くない。しかし、儲かるとなると話は別だ。具体的にある行為をすると儲かる、お金を使わなくてもいい、セーブマネーできるとなると俄然積極的になる。スマートとかエコといったって、もうかるかどうかのところを刺激してもらわないと、行動には結びつかないということだ。その意味では、スマートメーター、スマートグリッドは、実に米国的な省エネのやり方だと思う。p227
この部分は「米国人が独白する形」をとった著者の思い描く未来の米国人だが、ひさしぶりに「もったいない」がでてきた。こちらもノーベル受賞者であるケニヤの女性活動家のワンガリ・マータイ女史が、「MOTTAINAI」を世界の流行語にし、私たち日本人にも現在の自分たちのライフスタイルを振り返らせるチャンスを作ってくれた。
アメリカ風であれ、日本風であれ、エコなライフスタイルは歓迎である。
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