国連安保理と日本
「国連連安保理と日本」
白川義和 2009/08 中央公論新社 新書 183p
Vol.2 No774★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
日本国内の政治状況でさえこれだけ混沌としているのに、国際政治などに思いを寄せ始めたら、「パジャマを着たままパソコンの前に座」っているだけでは、何も手付かずのまま、理解不能で終わってしまう可能性が大きい。
それでも、未来の地球人たちが享受するであろう世界政府というシステムはどこまで成長しているのであろうか、と興味津津ではある。ましてやGoogleが「世界政府っていうものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部グーグルで作ろう。」という意気込みなら、無関心でいられるはずがない。
米国オバマ大統領の「非核宣言」を受けて、日本の鳩山新首相が、国連の安保理で演説をし、さらにまたその安保理が「核兵器ない世界を」決議採択するに至って、未来は明るいのではないか、と淡い期待を持ってしまうことは当然のことである。
ところが、この1965年生まれの読売新聞政治記者がレポートするところの国連やその安保理、そしてその動きの中で翻弄される国家としての日本外交は、とても芳しい動きとは言えない。ましてや、虹色に輝く「ひとつの地球政府」など、夢の夢、という想いにさえなってしまう。
安保理は各国の国益が正面からぶつかり会う場であり、二国間外交とは違った力学が働く。
中国の国連大使が記者団の前で顔を真っ赤にして怒ったり、米露の国連大使が突然、避難合戦を始めたりするのは珍しくない。安保理は15か国と参加するプレーヤーが多く、密室での生々しいやりとりも時間がたてばもれてくる。これほどむきだしの本音がぶつかり、大使ひとりひとりの人間的な側面が伝わってくる外交の舞台は、安保理をおいてないだろう。
そこでは、日米同盟がいつも有効に機能するとは限らない。米英仏中露の常任理事国5か国は複雑なゲームを日々展開しており、二国間の同盟関係は時に埋没してしまう。p7
北朝鮮の核開発問題、自衛隊の海外における給油活動、CO2排出削減問題、などなど、日本を取り巻く国際的課題でさえ山積みとなっている。ましてや地球全体となれば、ほとんど全体を考えて行動できている人間など皆無と言っていいだろう。
残念ながら、国連を取材していると、日本より中国の存在を感じることのほうが多い。常任理事国であるだけでなく、中国は国連総会で130か国以上が所属する最大派閥の途上国グループ「G77}を率い、欧米諸国に対抗している。また、アフリカを中心に積極的にPKO要員を出している。p165
この世に兵隊さんが不要だとは思わない。警察やガードマンが必要なように、自衛隊も必要であろう。国連主導主義と言われれば、日本も海外派兵も必要なのか、などと思わざるを得ない。しかし、まずはその「国連」そのものが問われ、理解されなければならない。
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