「世界大不況」は誰が引き起こしたか 米国「金融エリート」の失敗
「世界大不況」は誰が引き起こしたか」 米国「『金融エリート』の失敗
ジョン・カシディー /松村保孝 2009/09 講談社 単行本 208p
Vol.2 No797 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
最近ある取引が成立した。ちょっと前に、古書店で珍しい本を見つけ、意外に安い値段だったので2冊組本を購入しておいた。それぞれ数百円だったが、すでに出版元にも在庫がない。一般的な本でないのだが、好事家たちには人気があり、ネット上においてかなりの高額で売買されている。かつて、この本については当ブログで触れたこともあった。
その書き込みを見た見知らぬ方から、譲ってくれないか、という問い合わせがあった。おや、とは思ったが、もともと資料として必要かなと思っていただけで、永遠に所有しようと思っていたわけではない。申し出にそって手放すことにした。相手も正価の何倍もの買値を提示してきていた。
そこで、ネットの流通価格を見ると、なんと、もっともっとかなりの高額であることがわかった。古書として数百円で購入したものであるが、キチンとした流通サイトでも2万弱の値段がついている。びっくりしたものの、はて、その値段ではネットで購入したほうが早いと判断されてしてしまうかもしれないと思い、その半値を返答した。
相手の言い値より倍になったが、ネット価格よりは半値だ。その結果、この取引は見事に成立し、私の手元には差し引き1万弱の現金が残った。いつもはネットオークションなどもほとんど買い手ばかりを演じている私ではあるが、今回ばかりは、売り手として手元に利益が残ったということである。
逆の現象もある。訳あって、Win98時代のノートパソコンを5台ほど所有している。Win2000をインストールすれば、まだまだ使える人気機種で、ほとんどをネットオークションで落札して使ってきた。かなり大好きな機種なので、もともと30万ほどしたパソコンが、数万で手に入るという快感はたまらなかった。
しかし、新機種に替えたためにそろそろ古いパソコンは処分しようかな、とネットオークション出品のため流通価格を調べてみて、愕然となった。数か月前までは少なくも数千円、うまく行けば小一万で流通していたはずのこの機種が、一段と底値になっていた。どうかすると、100円でも売れ残っているのである。
これを売ればなんとか小遣いの足しになるはずと見込んでいたわが目論見はみごとにはずれてしまった。私は、これらの中古パソコンの売り時を間違ってしまったようだ。いまじゃ、処分料を追加して引き取ってもらわなければならない(笑)。もっとも、これらはまだまだ使えるので、他の使い道を考えようと思う。
とまぁ、こんな頓珍漢な生活を送っている私にとっての、損得勘定は、せいぜい数千円から数万円と、なんともつつましいものであるが、売り手と買い手がある限り、これらの取引が成立する社会の自由は守られなければならない、とは思う。
自由、平等、友愛、という、やや古びた言葉が、鳩山政権の成立とともに復活してきたが、ここで言われるところの「自由」の象徴的な出来事がグローバル金融の世界で起こっていたことであろう。いや、現在も懲りなく続いている。
この本はタイトルからイメージするよりも、内容は極めて人間的なストーリーが展開されている。アメリカの週刊誌「ニューヨーカー」に掲載された記事が何本かまとめられ、伝説的なトレーダーなどの姿が興味深げに描かれている。いわく、ヘッジファンド・マネージャー、メリルリンチ前会長兼CEO、Fed(連邦準備制度)議長・・・・。
公的な仕事風でもあり、理性を求められる仕事でもあるようでもあるが、結果としてはネコに魚の番をさせているようなもので、ネコに魚の番を頼んだほうが悪い、ということになる。自由社会のひとつの結末である。しかし・・・、それでいいのか。「平等」や「友愛」側からの照射が必要とされる。
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