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2009/10/19

鳩山由紀夫と鳩山家四代

鳩山由紀夫と鳩山家四代
「鳩山由紀夫と鳩山家四代」 
森省歩 2009/09 中央公論新社 新書 186p
Vol.2 No788 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆

 鳩山家は「日本のケネディ家」とも呼ばれる。
 そう呼ばれる理由は二つある。
 一つは、両家がいずれもリベラルなイメージを放つ政治家の系譜であること。もう一つは、両家とも一族が莫大な遺産を相続、保有してきた資産家の系譜であるということだ。
 リベラリストと資産家の系譜。この二つが「名門」としての鳩山家とケネディ家の共通点である。
p168

 民主党政権が成立してから、おびただしい量の鳩山個人にまつわるニュースがばらまかれている。幸婦人や鳩山会館など、そしてその父や祖父、さらには曽祖父についても語られるが、はて、現在のところは全体的に好意的に報道されている。首相就任一カ月しか経過していないハネムーンの時期と言えるだろう。

 しかし、民主党候補に投票した人々のほとんどは、「鳩山由紀夫」に投票したわけではない。自民党への幻滅や、民主党への期待、そして「政権交代」というイベントに投票したのである。ここで、突出して鳩山由紀夫についてのニュースが報道されるのは、仕方ない面もあるだろうが、白けてこのニュースを見ている有権者も多いに違いない。

 名誉と財力、そして権力-----。あらゆる点で、名門・鳩山家は、戦後日本の新支配階層を代表する特権階級と言っていい。p54

 民主党の代表は、数か月前までは小沢一郎だった。あるいは民主党を設立して以来、共闘を組んできた管直人。この両人が民主党の代表になっていた可能性も大きい。もしそうだったとすれば、かなり雰囲気の違った「民主党」政権になっていたに違いない。

 「フランスの旗印は、自由と平等と友愛の三つであった。それが三色旗になっている。戦後の日本は、自由と平等を学んだが、友愛を忘れた。みんなが自由を叫び、平等を叫ぶだけであったら、必ず闘争が起こる。本当の自由も成立しない。ストライキが頻発しているのは、三つのなかの一つが欠如しているためである。友愛という、自由と平等を結びつける紐帯なしに真の民主主義はあり得ない。三つがなければだめ。今の日本にはひとつ欠けている」p177 鳩山一郎 1952

 ふたを開けてみれば、政権交代した民主党とは、新しい自民党ではないのか、と、してやられたな、と舌打ちしている人々も多いに違いない。しかし、今のところは、「マニュフェスト」にある政策を実行しているうちは、有権者の大方の支持を取り続けることはできるだろう。ただ、***よりまし、というプロセスを経て、より明確な責任的立場に立たされた時に、その真価を問われるだろう。

 友愛。その言葉、その哲学は、必ずしも明確ではない。国際的会議の場でも多く語られた「YOU-AI」フィロソフィー。その実態とは何か。自由、平等、と比肩されるとこころの「友愛」。「みんなと仲良くするのが友愛なら、まず自民党や北朝鮮と仲良くすればいいじゃないか」と揶揄されたりしているが、まずはお手並み拝見といきたい。

 <ほとんど毎日、女房と本棚の一部を小さな神棚にして神に感謝することをやっています。感謝することです。
 ファミリーと国民に健康を与えてくれていることに感謝します。これから自分自身の思いで精一杯やりますから、どうぞ支えて下さいみたいなお祈りを大体毎日やっています。内容は言うもんじゃないんですけれどね。あとは瞑想を唯一の健康法として1日に20分。でもなかなか時間が取れないんですが。
 なんにも考えないでマントラを唱える。意味のない言葉を唱えているうちに頭の中が無になる。その考えない時間を持つというのが頭をスッキリさせて健康にさせる>
p91 鳩山由紀夫 2002

 このコメントは、この本の中でもかなり特異な部分だが、「宇宙人」の異名をとる新首相の側面を語る貴重な文章だ。

 <「気」のように、目には見えない科学的に解明もされていないけれど、さまざまな現象を起こすものが実際にあります。<中略>自分が政治家になった以上は、そういうものに国として目を向けて欲しいという思いがありますから、「気の研究会」や「人間サイエンスの会」をつくって、気に触れてもらったりしています。そこで「あなたはここが悪い」などと気功家に指摘されているうちに、自分の中のかたくな部分を変えていこうとする人が現れるのではないかと思いまして。実際、そういう現象を感性で理解できる人は増えていると思います> p91 鳩山由紀夫 2008

 なにも宇宙人にまで超越して行ってしまう必要はないが、地球人的感覚を忘れないでほしい。そういえば、民主党のスローガンでもある「コンクリートから人へ」は、ひょっとすると、麻生セメント・グループがバックアップする麻生太郎への皮肉であったかと、今になってそのユーモアセンスに気付く。

 さて、それでは、「人へ」と言った場合、その「人」とはなにか。決して高見の見物を決め込まないで、このチャンスに当ブログも考えてみたい。

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