15歳のためのグローバリゼーション
「15歳のためのグローバリゼーション」 新しい地図を持って歩き出そう― マップ・セレクション
正井泰男・監修 Earth Atlas編集委員会 2009/9 幻冬舎 単行本 175p
Vol.2 No813★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
15歳のための、というところはなかなか興味魅かれるところだが、はて、「新しい地図を持って」というのはどうなのだろう。若者の旅たちなら、地図なき旅、となるべきではないか、そんなことを考えた。しかし、日本国際地図学会元会長の監修にして、地図作成業者の協力のもとに編集された本であれば、いくら15歳の旅たちとは言え、地図なき旅とはならないようだ。
さて、15歳とか、若い人々へのアプローチの本もこの頃よく見かける。「娘と話す」シリーズなんてのもあった。15歳のグローバリゼーション、というなら、最近読んだ「平和学」なども、ぜひ加えてもらいたいものだ、とも思う。とか、いいながら、この本もなかなかよくできている。「大人が読んでもスリリング!」という腰巻のコピーが光る。
だが、ひとりの15歳に、何人もの「大人」が、よってたかって「グローバリゼーション」を教え込む、というのもどうかなぁ。1対1のコミュニケーションが必要なのではないだろうか。つまり、各界からの「グローバリゼーション」についての考え方を列挙するとしても、それを一人の15歳が消化するには、ちょっと荷が重いのではないだろうか。
15歳の前に立つのは、ひとりの「グローバリニスト」としての、ひとりの大人、ひとつの人格であるべきではないだろうか。と思い始めるほど、この本に書かれているのは、ひとつひとつは正しそうだけど、それをたったひとつに統合して理解するのはなかなか難しそうだ。それに、大事な眼目であるスピリチュアリティや意識への問いかけが抜けているのではないか。
と思うほど、この本の狙いが面白そうだけに、いまいち残念に感じる。地球人としてのプラットフォームになるかもしれないという可能性があるだけに、もうすこし練り直しを要求したい。温暖化、森林、人口、冒険、リナックス、などなど、ともすればバラバラになってしまうようなテーマをコンパクトに一冊にしている。しかし、なにかが足りない。何かが変だ。
1996年わが国の提唱で国連計画「地球地図」プロジェクトがスタートし、世界を100分の1の縮尺で統一して、地理情報を公開するという計画が具体化しました。p156
なるほど、やっぱり地図ありきのお話であったか。Google Earthなどの発達で、すでに、ひと固まりの地球、という感覚は一般的になってきているが、ついこの間まで、いや現在でも、軍事上の秘密などで、各国の地図の公開は、かならずしも進んでいるとは言えなかった。
なにはともあれ、各界でさまざまなグローバリゼーションへの取り組みが進んでいることは、新しい地球人の誕生に向けて、大変重要なことだと思う。
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