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2009/11/26

かもめのジョナサン <3>

<2>よりつづく 

かもめのジョナサン
「かもめのジョナサン」 <3>
リチャード・バック /五木寛之 1977/05 新潮社 文庫 140p

 6月に書いた自分のブログを見て、おや、と思った。あの頃もまた、この「かもめのジョナサン」と「意識とは何か」の2冊を持って、旅に出たのであった。夏には政権交代劇などがあり、興味の範囲が大きく外側にぶれたが、意外に冷静になってみれば、自分の好みはかなり安定しているというか、限定されているものだな、と思う。

 二つとも小さな本なので、持ちやすい。旅のお供にはちょうどいい位だ。ジョナサンのほうは中にラッセル・マンソンの写真も入っているし、気のきいた五木寛之の解説もついている。その上に、この小さな小説は、実にパターン化されたスピリチュアリティ小説の骨格を持っているように思える。

1、探究する青年

2、到達したものと、到達し得ないもの

3、マスターとの出会い

4、新しい世界の展開

5、マスターとの別れと、新しい青年との出会い

6、永遠なるものについて

7、いまここで

 他のいくつかの典型を見ると、このようなパターンを形成している小説は結構みつかりそうだ。小説は小説であり、科学的とは当然言えないし、かといって、光明を得た存在からメッセージとも言えない。だが、そこには、ひとつの典型が見事に表現されている。

 それに比較すると「意識とは何か」のほうは、脳科学の先端研究の結果をもとに、「意識」を真摯に切り開こうとしている。科学的に実証され、追認されたものではあるが、しかしまた、残された大きな課題がある。上の段階でいえば、1、2、のステップのところで、とどまっているようだ。

 3、のマスターとの出会い、とまではいかないが、「意識とは何か」の中には貴重な「意識」を巡る「ブックガイド」がついている。これもまた楽しみである。しかし、そこに紹介されている「マスター」たちも、「永遠なるもの」について語り得ているとは言い難い。「永遠なるもの」については、この2書以外の、他の手掛かりを探さざるをえない。

 そんなことを考え、当ブログのアクセスログのコンテンツ別のリストを見ていると、意外な当ブログの定番本が、ほのかに見えてきた。それは思いもかけない形でやってきたのだが、案外、図星をついているかもしれない。そう思って、随意に並べてみた。

当ブログ、想定外の「定番本」たち、その1

イ、「きけ小人物よ」
ロ、「フロイト 精神分析」
ハ、「テラフォーミング」

ニ、「シッダールタ」
ホ、「かもめのジョナサン」
ヘ、「シーシュポスの神話」
ト、「ゴドーを待ちながら」

チ、「二入四行論」
リ、「山上の垂訓」
ヌ、「タゴール詩集」
ヲ、「スーフィー」
ワ、「グルジェフ」
カ、「シークレット・ドクトリン」

 あくまでGoogle からのアクセスログをもとに随意に拾いあげてみただけだが、これらのキーワードからのアクセスが圧倒的に多い。たまたまリストの上位にランクされたとか、ロングテール効果で、あまり他のブログなどで触れていないものが、このリストに並んでしまった、ということもあろう。

 しかし、このリストは、当然、当ブログが触れていた本たちについてのアクセスであり、またOshoの「私が愛した本」で取り上げた本がほとんどだ。また、「OSHOのお薦め本ベスト10(私家版)」に連なってくるものもある。

 ざっと見ると、イ~ハがいわゆる「科学」分野であり、ニ~トが「芸術」分野。さらにチ~カが「意識」分野、ということができるであろう。「意識」分野、というのはあまりふさわしくないが、とにかく、客観的なデータに基づいているようなものでもないし、表現豊かな「芸術」の世界、とも言い難い。敢えていうなら、「This is it」に行き着いたマスターたちからの、語りえぬことを語ったメッセージである。

 ロの「テラフォーミング」はちょっと方向違いだが、ライヒやフロイトは基本中の基本として、学び直す必要がある。小説などは得意じゃないが、全部嫌いなわけではない。ある傾向性のある小説は大好きなわけだから、ヘッセやカミュなども読みなおしてみるのもいいだろう。

 それにしても、圧倒的なのは「意識」分野にランクされた本たちだ。禅、キリスト教、ヒンズー、イスラム、が見事にならび、グルジェフとブラヴァッキーがキチンと網羅されている。あえていうならタントラが入っていないのが不思議だが、その理由は、もうすこし後になったら追求してみよう。この「想定外」定本たちの再読モードから、当ブログの今後の展開があるだろう。

 <4>につづく

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