デジタル社会はなぜ生きにくいか
「デジタル社会はなぜ生きにくいか」
徳田雄洋 2009/05 岩波書店 サイズ: 新書 191p
Vol.2 No816★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆
「デジタル社会はなぜ生きにくいか」とくれば、いくつかの対語、あるいは反語が想像できる。
1)アナログ社会は生きやすい
2)アナログ社会も生きにくい
3)デジタル社会はまだ生きにくい
4)デジタル社会はやっぱり生きにくい
5)デジタル社会をアナログ社会へもどそう
6)デジタル社会はこうすれば生きやすくなる
7)アナログ社会とデジタル社会をうまく組み合わせよう。
デジタル社会やアナログ社会というネーミング自体が、何を言っているのやらと、やや意味不明なところがあるが、結局この本の結論は、ごくごく当たり前の結論に達しているようだ。ソフトウェア生成系や情報ネットワークが専門の理学博士が書くこの本は、網羅的に現在の「デジタル社会」を紹介しているが、そのスタイルからは面倒くさそうな固有名詞や専門用語が、注意深く省かれている。
だから、この本を誰が読むかによってだいぶ意味が違ってくるが、やっぱり「デジタル社会はだめだ」と思っていそうな中高年の読者を想定しているようなところがある。しかし、だからと言って、彼らの「反動的」な意見に迎合しているわけではない。
結論としては、至極まっとうなものである
心構え(1) 半分信用し、半分信用しない
心構え(2) 必要な知識や情報を得て、自分を守り、他人の立場を尊重する
心構え(3) 自分ですることの境界線を定める
心構え(4) 利用することと利用しないことの境界線を定める
心構え(5) 危険性を分散し、代替の方法を持つ
心構え(6) 依存しすぎない p170~p177「生きるための心構え」
当ブログの概念でいうところの、クラウド・コンピューティングと、クラウド・ソーシングのバランスをうまくとって行こう、というのがこの本の結論だ。アナログ社会へ戻ろうとか、デジタル社会を止めよう、という趣旨ではない。デジタル社会を生きるためには、その心構えを持つ必要がある、ということである。
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