ブッシュからオバマへ―アメリカ変革のゆくえ
「ブッシュからオバマへ―アメリカ変革のゆくへ」
古矢 旬 (著) 2009/08 岩波書店 単行本: 280p
Vol.2 No844 ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★☆☆☆
長期に渡ってアメリカを見つめてきた研究者たちにとっても、オバマ大統領出現を予期することは難しかったという。むしろ専門的な研究者だからこそ、難しかったのかもしれない。しかし、大統領を生みだす世論は、必ずしも専門的な研究家達ではない。時には気まぐれな、時にはより非常識な変革の嵐だったりする。
オバマ個人に脚光が浴びせられる部分と、その背景となるアメリカの政治や経済、そしてとりわけ繋がりのつよい世界状況を見据えなければ、この「アメリカ変革」の本当の意味はわからない。この本はそういった意味ではバランスの取れた一冊と言える。
アメリカ国民ならざる私たちにとっては、他国の大統領でしかないが、しかし、いまやアメリカが地球上の国際政治に占める位置は圧倒的なものがあり、アメリカの動向には無関心ではいられない。
アメリカがどう変わっていくのか、ということは、この地球上の人類がどう変わっていくのか、ということでもある。核兵器の放棄や、地球環境問題への取り組み、医療問題や教育問題、とりわけ、世界経済のへの積極的な取り組みなど、新アメリカ大統領に期待されることは、極めて大きい。
それに加えて、日本も55年体制からの脱却とばかりに、民主党が政権を奪取したところである。ジャーナリズムも専門的な研究者たちのレポートも、現在進行形の出来事まで追いつくにはかなりの時間がかかりそうだ。
なにかが進行しており、意欲的な変革が行われる可能性があるとするならば、日米関係だろうが、地球のどこかであろうが、「よい」方向に変わっていって欲しい。では「良い」方向とはなんだろう。
まずは戦争をなくすことだ。そして核兵器をなくす。自由と平等のバランスをうまくとる。そして地球環境が持続可能な状態に維持できるようにする。そして、その中で、人々が人生を有意義におくり、自らの精神性を、ひとりひとり高められるようにすることだ。
そういう意味では、ブッシュよりオバマのほうが、より可能性があるように思う。過去より未来へ、古きものから新しきものへ、部分的なものから全体的なものへと移行することは「良い」ことだ。粗雑なエネルギーからまろやかなエネルギーへ、貧しさから豊かさへ。ウソから真実へ。敵対から友好へ。
そんなことを期待する。
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