老年の価値 ヘッセ
「老年の価値」
ヘルマン・ヘッセ /マルティーン・ヘッセ 2008/06 朝日出版社 単行本 445p
Vol.2 No856 ★★★☆☆ ★★★★★ ★★★★★
この本を図書館で見つけて、もう一年以上になる。一度ならず借り出しては来ているのだが、そしてその都度、延長をしているのだが、なかなか読みだすまでには至らなかった。今、私がヘッセに求めているものとしたら、きっと、その内容は、この本に書かれているようなことに、一番関心があることだろう。それは分かっていた。この本を読む、というより、この本が傍らにある風景、というのを思い描いてみることが私は好きだ。
しかし、今回ようやく読み出せたのは、「青春の作家」、「反体制的でアナーキーな反戦平和主義者」、「老いと死についての叡智を語る老賢者」、というヘッセの三つの局面を、全体像の中から捉えてみよう、という気持ちが湧いてきたからであった。
老いと死についての叡智を語る老賢者、というイメージは、ヘッセにはあまりにもハマりすぎる。「ガラス玉演戯」はヘッセの代表作であり、55歳から65歳の10年間に渡って書かれたものだが、まさにそこに現れた思想を、当ブログは「レムリアの古老」とニックネームをつけて、愛してきた。この本に収められているのは、さらにそれからの20年間に渡るヘッセの人生の中で書かれた膨大な書簡集などである。
抜き出したらきりがないのでやめておくが、忘れられないほど強い印象の詩がいくつも収められている。編集者のミヒェルスによる信頼おける一冊であり、時代や文献の種類にさまざまな順序の異動はあるが、さまざまな工夫がされている。
その上でなお、この本が特異なのは、ヘッセの三男のマルティーン・ヘッセの手による写真がたくさん収められていることだろう。素晴らしいけれども文章だけでは分からないヘッセの世界が、たくさんの写真から、動きを持って蘇る。
ヘッセの豊かな自然観察の文章を読んでいると、ある種、クリシュナムルティを連想する。クリシュナムルティは、一旦、当ブログでも読みだしたのだが、途中で一休みしている。それはなぜか。よく自分でも理由はわからないが、ひとつは、その美的な諦観、というものに対する、読者としての準備ができていないのではないか、と思える。控え目に言っての話だが。
ヘッセのこの本があるのは分かっていたし、今、この本こそ読んでみたい、とは思いつつ、この本だけ単独で読むことの違和感は、正直言って強くある。老年は老年として、単独であるものではない。「青春」、「反体制主義者」、「老賢者」、という三つの局面に代表される、ひとつの、一貫した人生。その中でこそ老年は語り得る価値が生まれてくるのではないだろうか。
今日は、Oshoの誕生日である。1931年生まれのOshoが、今日生きていて、もし78歳になっていたとしたら、どんなレクチャーをしただろうか。それをイメージしてみることは楽しい。そうであったら、もっともっと別な話を聞くことができただろう。
しかし、「もし~~たら」の話は、人生にはない。起きたことだけが事実なのだ。すでにOshoはここになく、話もしていない。もし肉体の中にいたとしても、彼は沈黙の中の饒舌を持って静かに座っていたことだろう。つまりは、肉体の中にいようがいまいが、結局は同じことなのだ。
85歳の天寿を全うしたヘッセの言葉は貴重だ。その言葉をきくことは、心踊る。この本は、ヘッセの作品全体に対する仕分けに従って、当ブログでは「表現からアートへ」カテゴリに入れておくことになるが、実際はむしろ「地球人として生きる」カテゴリに属する一冊であろう。地球人として生きたヘルマン・ヘッセを誇りに思う。こういう人生があるのだ。内省的で、なお、外側の世界への関心を失わず、かつ、人々に愛され、人々を愛し、人としての命を全うする。なんと見事な人生なのだろう。
それはある意味、クリシュナムルティ的な悟りへと通じるものがある。しかし、ここで、グルジェフならなんとするだろう。多分、大きな声で、叫ぶに違いない。
STOP!
そして、Oshoなら、クスクス笑い出すだろう。
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コメント
ラオツさん
はは、かわいいネコですね。これは画像ソフトをこすったりしながら作ったのかなぁ?
Oshoのセレブレーションも昔はビッグ(笑)にやったものですが、現在は、毎日がセレブレーション(こちらも爆)ということで、特別にバースデーセレブレーションなどはしなくなりました。
まぁ、これもあり、ってことで、すっきりしていていいです(◎´∀`)ノ
投稿: Bhavesh | 2009/12/11 16:16
ごめんなさい
Bagwanへ敬意を表して
どうして陽水の唄が
こっちです Osho
DeoGratias♪
http://www.youtube.com/watch?v=AelmBI0sJ3A&feature=PlayList&p=D00B362A690F15FE&index=0&playnext=1
投稿: ラオツ | 2009/12/11 13:13
今日はOshoの誕生日だったんですよね
Bhagwanのほうが腑に落ちますが
敬意を表してhttp://www.youtube.com/watch?v=u16bOppAzRs&NR=1
Twitterですが、PCからやってます
TweetDeckをつかっていますが
なんだかよくはわかりません(笑)
http://www.dougamanual.com/blog/180/1031/e4664.html
まずはここからですね
P.P.M.D
投稿: ラオツ | 2009/12/11 13:04