« レキシントンの幽霊 | トップページ | 意味がなければスイングはない »

2010/01/31

夜のくもざる 村上春樹

Photo_2

「夜のくもざる」村上朝日堂超短篇小説
村上 春樹 (著), 安西 水丸 (イラスト) 1995/06 平凡社 単行本: 237p
Vol.2 948★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆

 いつもは行かない大きな中央図書館で、年に一度の催しものがあったので、ウォーキングがてらに覗いてきた。ついでに小説コーナーにも言って「む」の棚をみたのだが、あまり村上春樹の本はなかった。となりの村上龍や室井なんとかなどはあるのに、へんだな、といろいろ頭のなかで思いをめぐらした。

 そうか、蔵書はたくさんあるけれど、リクエストが多いので、貸出される量が多いのだ。考えてみれば、私の自宅にも、ネットワークを通じて、この中央図書館から何冊もの村上春樹が来ている。ここに残っているわけがないのだ。

 でも、その数少ない村上春樹本の中で、なぜか、この「夜のくもざる」が2冊あった。出版当時よっぽど人気があって、多く入庫したために余っているのか、あるいは、ほとんど人気にがなくて、この本だけが、いつも棚の空欄を埋めているのか、私には判断つかない。

 この本は「短い短編」が集められている。まるで星新一のショートショートみたいなものだ。パーカー万年筆の広告などに使われたらしい。イラストはあのイノセントアートの安西水丸が担当している。担当している、というより、このイラストあっての、このショートショート、という組み合わせかもしれない。

 いずれにしても、最初から安西水丸がイラストをつけているが、この本が出版されるにあたって、安西水丸は、全部イラストを書きなおしたという。最初の広告のスペースにあうように描いたイラストでは、単行本には向かないと判断したらしい。

 この短編集には、どこかで読んだような短編がいくつも含まれている。当ブログは順不動で読んでいるので、にわかには指摘できないが、「象の消滅」に含まれていたものが何編かあったと思う。あちらには安西水丸のイラストはついていなかったが、イラストがないこの短編を読むのと、あるのを読むのは、どう違うだろう、と考えた。

 いみじくもこの本もまた95年の6月に発行されているが、内容から言っても、村上春樹の前期+後期のうち、正当な前期に属するものだ。

|

« レキシントンの幽霊 | トップページ | 意味がなければスイングはない »

45)クラウドソーシング」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 夜のくもざる 村上春樹:

« レキシントンの幽霊 | トップページ | 意味がなければスイングはない »