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2010/01/08

東アジアが読む村上春樹

東アジアが読む村上春樹
「東アジアが読む村上春樹」 東京大学文学部中国文学科国際共同研究 Murakami Haruki study books
藤井省三 2009/06 若草書房 全集・双書 367p
Vol.2 No900★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆

 村上春樹をめぐるさまざまな動きの中で、村上本人、村上ファン、ハルキニスト、ハルキワールド・クラウドソーシング、文芸評論家たち、などなどが様々なかたちを形成している。この本は「世界は村上春樹をどう読むか」の類書として、クラウドソーシングに近いようではあるが、さらにより外周部である「文芸評論家」たちへと退いた形での「研究」である。

 発行されたのは2009年6月でもあるし、決して古い書物ではないが、研究者たちの常として、処理されている情報は古い。この時点では「1Q84」についての研究も盛り込まれる必要があるのだろうが、そこまでは手が伸びていない。

 この他さまざまな研究書や評論本はあれど、まずは小説そのものも読み進める必要があるので、当ブログとしては、車の両輪のように小説と解説を並べて読んでみようと思う。そういう地点から見れば、この本の中で「『海辺のカフカ』は日本でどう読まれたか---カフカ少年と『少年カフカ』」島村輝p300あたりが一番面白く読める。

 「海辺のカフカ」も「少年カフカ」も今手元にあるので、これらをひととおりめくり終わってから、そして、自分の中でゆっくり醸成したものを持ってして、これらの「解説本」と再対峙する必要があるだろう。その点、同時進行的な「世界は村上春樹をどう読むか」に対する姿勢とは、自ずと違ってきているように思う。

 つづく

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