アフターダーク 村上春樹
「アフターダーク」
村上 春樹 2004/9/7 講談社 単行本 288p
Vol.2 913★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
ウィキペディアを見てみると、驚くほど大量の村上作品がリストアップされており、最初からこのリストを見ていたら、「ひととおり」村上作品に目を通してみてみよう、なんて思いもしなかっただろう。幸いに、当ブログは「公立図書館の開架棚にある本をメインに」して読み進める、という姿勢を自らのポリシーとしているし、まずあのリストの全部が手に入るとは思えない。さらには、それらをすべて読了する前に、また別な話題に関心は移っていってしまうだろう。
それにしても、まずは手当たり次第、ということで、この「アフターダーク」を読んでみることに。「海辺のカフカ」の2年後、「1Q84」の5年前、という位置づけだが、二つの大きな話題を呼んだ作品の間に挟まったこの「長編」には、あまり強い印象は受けなった。
一部の村上的描写(眠り続ける姉とか)を除けば、わりとリアリズムに徹した小説と言えるが、ここまで村上作品の非リアリズム世界に付き合っていると、ついついそちらへの展開をも期待してしまうから不思議である。どちらにせよ、読者の思った通りにストーリーが展開するのであれば、最初からストーリーはいらないわけで、意外な展開になるから小説は小説足りえるともいえる。そういった意味では、拍子抜けさせられた一冊と言える。逆の意味で意外だった。
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