村上春樹イエローページ 作品別(1979~1996)
「村上春樹イエローページ」 作品別(1979~1996)
加藤 典洋(編集) 1996/10 荒地出版社 単行本: 222p
Vol.2 934★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
どのような時代的変遷がめぐっていたのか、にわかにはトータルにはわからないが、初期的というより、中期的なところまでの村上春樹作品に対する俯瞰的な解説本が、このイエローページ・シリーズということになろう。30人以上のスタッフが関わったということだから、まさに当ブログが現在模索中のクラウドソーシングとしての「ハルキ・ワールド」プロジェクトな一冊と言えるだろう。
イエローページというからには、もっと電話帳のような細切れなものをイメージしたが、ここまでの8つの作品についての、細かい多面的な解説であり、図式などを用いているので、なかなか得難いチャンネルと言える。
当ブログは現在まで、長編をふくむ約40冊を超える程度の村上春樹本をめくってきたが、そのほんのリストを見ているだけでも、自分なりのイエローページになっているような感じがする。まさか、ここまで春樹本をめくるとは自分では想定していなかった。しかしながら、掘り起こせば、まだまだ春樹本はあり、また、用語一つ、表現一つにしても、まだまだ当ブログとしての統一したものをだせないでいる。
この本は、村上春樹の小説を読んだことのある人を対象に、さらに村上の小説が面白く読めるようになることをめざして作られている。村上の作品を読んでいる人はたくさんいるが、それにしてはしっかりした批評がない現状に一石を投じたい気持ちもあった。p1
小説嫌いな当ブログであってみれば、「面白く」よんだかどうかはともかく、ひととおり長編を中心にしてめくってきたことは否めない。「まだ読んでません」とは、もう言えない。かと言って、「読みました」と胸を張るまでには至っていない、というのが本当のところである。とくに、作品ごとに集中力の差が歴然としており、再読が必要なものもすくなくない。とくに、「ねじまき鳥~」第3部は、再読必須である。
出版当時にひとつづづの作品を読み続けてきた人々に比べれば、この数週間にぱらぱらとめくっただけでは、「なにを読んでいるのやら」とお叱りを受けてることもいかしかたない。しかし、まぁ、これもまたひとつの読書の在り方だろうし、それはそれとして、もうすこし自分の中で、咀嚼され熟成される時間も必要であると思う。
この本にはpart2があり、新装文庫本では3冊分冊になっているようであるが、やっぱり私は、もともと初版の2分冊が正しいのではないか、と思っている。というのは、最近パラレルワールド「1Q95」という入り口を見つけてしまったからであり、こちらの初出本は、ちょうど、二冊の境目に「1995年」がある。
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