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2010/01/07

ビートルズを知らない子どもたちへ 北山修

ビートルズを知らない子どもたちへ
「ビートルズを知らない子どもたちへ」
北山修 2009/09 アルテスパブリッシング 単行本 233p
Vol.2 No899★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆

 わずか数ヶ月前に出た本なので、北山のもっとも最近の書であろう、と期待していたのだが、開いてみれば1987年に講談社からでた「ビートルズ」を改訂増補したものだという。う~ん、ちょっと残念な気持ち。この人、いよいよ「改訂増補」がお好きなようだ。とくに、還暦を迎えられた後あたりから、一生懸命、自分の過去を化粧するのか塗り替えるのか、とにかく昔の「表現」を「改訂増補」しつづけている。

 71年にでた「戦争を知らない子どもたち」を読んで、「かっこいい人はかっこいいな」とコメントしておいたが、実はこれは、単に賛辞というだけではなく、ちょっとした皮肉でもあった。なぜに、かっこつけるのか。

 ビートルズは、「ヤァ! ヤァ! ヤァ!」と笑顔で恋の唄を歌いながら、いっぽうでは「ファンのことなんかどうでもいい」と思うこともあっただろうし、「愛の唄もたくさん歌うけれど、本当はオレは悪いやつさ」とやっていた。そんなふうに自分をさらしながら、苦しみもがき、のたうちまわるようにして演じていたのではないでしょうか。p219

 これは改訂増補を終えたあとの、2009年の北山の本音である。

 最近、マイケル・ジャクソンがなくなりましたが、またひとりこの苦しみの延長線上に犠牲者が出てしまったことに、とても心が痛みました。彼はどんなに大きな苦しみを抱え、それを乗りこえるためにどんなふうに生きていたのだろうか、そこにもはかり知れないものがある。p220

 この「とても心が痛みました」という台詞は、この本の出版後、もっと強まったのではないだろうか。

 何においても、まずひとりの人間を見つけてくることだけでも、大変だと思うんです。たとえば加藤和彦ひとり見つけるだけで大変。きたやまおさむみたいなのもあまりいない。誰ひとりとして同じ人間はいませんから、それを探してくることは本当に大変。p224

 このあと、昨年12月にでた「加藤和彦ラスト・メッセージ」を読む予定である。そこになにかのヒントをみつけることができるだろうか。

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