インテグラル・スピリチュアリティ<3>
<2>よりつづく
「インテグラル・スピリチュアリティ」<3>
ケン・ウィルバー /松永太郎 春秋社 2008年02月サイズ: 単行本 ページ数: 469p
★★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
IOSとは何か
IOSとは、「統合作動システム(Integral Operating System)のことである。情報ネットワークの世界では、オペレーティング・システムとは、さまざまなソフトウェアを作動させる基礎的なシステムのことである。
私たちは、「統合作動システム(IOS)」を別名として使うことにする。そのポイントは、簡単に言えば、あなたが、ビジネス、仕事、遊び、家族関係などで「ソフトウェア」を作動させようとすれば、最良のオペレーション・システムがほしいと思われるに違いない、IOSは、その価値のあるものであるということである。
すべての重要なポイントを見逃さないため、IOSは、最も効果的・効率的なプログラムとなる。これは別な言い方で言えば、統合(インテグラル)モデルの包括的内包性を表しているのである。ケン・ウィルバー p6
この作家がまだ若い時から(ということは読者である自分も若かった)、ずっと気にはなっているのだが、一連の仕事にどうも納得感がない。ひととおり追っかけはしてみたが、だからどうした、と、開き直ってしまう自分がいて、可笑しい。
(略)超個(トランスパーソナル)心理学についてもお話しいただけないでしょうか---とくにスペクトラム心理学の創始者と言われる、ケン・ウィルバーの業績と瞑想について。(略)
まず第一に理解すべきは、私は心理学は扱っていないということだ。心理学はマインドに結び付いたままだ---それはマインドの科学だ。そして私の仕事というのは、あなたをマインドの外に連れ出すことだ。だからこうした人々は、きっと私のことを敵のように思うだろう。
彼らが扱っているのは、マインドの機能の仕方---それが個人(パーソナル)のものであろうと、人と人との間(インターパーソナル)なものであろうと---であり、その条件付けとは何か、そしてそうした条件づけをどうやって新しい条件づけによって置き換えるか、といったことだ。
彼らの仕事は、それがインターパーソナル心理学と呼ばれようがスペクトラム心理学と呼ばれようが、マインドに閉じ込められたままだ。そして私の世界、禅の世界は、ノーマインドの世界だ。OSHO「禅宣言」p458
とOshoは言うものの、「心理学」という言葉にはさまざまな魅力がある。当ブログのカテゴリにも「ブッタ達の心理学」というものがあり、すでに108*2のサイクルで続けてきている。現在一個しか走っていない当ブログのカテゴリだが、のこり40ほどの書き込みが終われば、次なるカテゴリ名は「ブッタ達の心理学3.0」となる確率が高い。
大洋にすでに航海している存在にとっては、海岸なんぞなんの必要もなかろうが、これから大洋に辿り着こうとする者たちにとっては、目指すべきはまず海岸だ。海は、海岸の向こうにある。山の中にいて海を思っていても航海は始まらない。まずは海岸だ。心理学というカテゴリは、海岸線を表しているように私は思う。
海岸線の手前にとどまり、海を眺望するにとどまる可能性もある。あるいは一歩でもその波の中に足を踏み入れていくかもしれない。すくなくとも心理学は、人々を(私を)海に連れていくだろうし、海の存在を気付かせてくれる。当ブログが「ブッタ達の心理学」というカテゴリ名を使うときは、すでに航海をしている存在から見た場合の海岸線を意味している。彼らからのアドバイスや招待を、暗に期待しているわけである。
さて「人間に可能な進化の心理学」、「秘教の心理学」、「インテグラル・スピリチュアリティ」、の三冊を並べてみながら、そこにはひとつの可能性があるように思う。ウスペンスキーは1937年当時にこの本を書いている。Oshoは1970年前後にこの講話をしている。そして、ケン・ウィルバーはさらに21世紀になってこの本を著している。その間にそれぞれ34~5年程度づつの開きがあるのが面白い。それぞれ、親子ほどの世代間がある。
グルジェフ+ウスペンスキーはどこでとどまったのか。Oshoは何を示唆したのか。ウィルバーはどこに辿り着こうとしているのか。そのあたりを「ブッタ達の心理学」という視点から捉えなおしておく必要を感じる。
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