村上春樹の二元的世界
「村上春樹の二元的世界」
横尾 和博 1992/07 鳥影社 単行本: 182p
Vol.2 951★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
探してみれば村上春樹研究やら解説やら評論は、無数にあって、それらを評論するだけで、また一冊の本ができそうな勢いだ。その中でもこの本は、多作な村上作品の中の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に絞って、その論を展開している、ちょっと珍しい(当ブログが読みこんできた中ではという意味で)一冊と言える。
論旨はともかく、なんだか、とても懐かしく、どこか親しみが湧いてしまうのは、この人のもともと持っているキャラクターなのだろう。ネット上の某所によると、
>横尾和博さんは1950年生まれ。
>新宿高校全共闘から中央大学除籍。
>全建総連書記を経てドストエフスキー研究、文芸評論へ。
>元「月刊青島」編集長。
>「村上春樹×90年代」「筒井康隆『断筆』の深層」などの著書アリ。
などという記述がある。精確度のほうは定かではない。当ブログでは「村上春樹×90年代 再生の根拠」なんて本も読んでみたし、それに先立つこと「村上春樹とドストエーフスキー」などという本もあり、こちらは現在図書館にリクエスト中。
「カラマーゾフの兄弟」は最近ようやく新訳で読んだので、いっぱしのドストエーフスキーの会の会員のような気分になっているが、やはり長編小説はあまり得意ではない。ましてやロシア小説は特に。ただ、この横尾和博という人の本なら読んでもいいかな、と思うから、ちょっと不思議。
自分なりのいま在る根拠が問えれば、本書の課題は達成されたことになるだろう。p13「序章」
問題は立てられたが、それが解決しているかどうかは不明。だが、その問題の立て方自体がなんだか、いつかどこかで見たことのあるような、それこそデジャブをさそうような懐かしさを感じる。これはこの本が出版された当時かなり新しかったのだろうか。それとも、この人のもっているキャラなんだろうか。
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