僕たちの好きな村上春樹
「僕たちの好きな村上春樹」
別冊宝島743 2003/02 宝島社 単行本 143p
Vol.2 957★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
「村上春樹の『1Q84』を読み解く」の中の「村上春樹をもっと知るための7冊」のトップとして、「『村上春樹』が好き!」がリストアップされている。「好き!」はこの「好きな」の文庫本化2004/9であり、むしろこちらがオリジナル2003/03というべきであろう。リストの紹介も2003年となっているので、読者のために入手しやすい文庫本のほうのタイトルを紹介しているのだろう。
別冊宝島シリーズはまさにその第一号で、当時私たちが作っていたミニコミが画像付きで紹介されて以来、それなりに気になって読んできたシリーズである。だから親近感も感じるが、なんせ時代は70年代から2010年と40年の年月が経過している。いつまでも別冊宝島が、うまく私たちの世代をカバーしてくれているようには思えない。
むしろ、ひと世代、ふた世代下の人々がターゲットとされているような内容の本なので、この本にとやかく言うことはなさそうだ。2003年当時の、つまり「風の歌を聴け」から「海辺のカフカ」までのハルキワールドが、大きなA4版(週刊誌版)の大きな紙面にカラーイラストや大量の画像つきで展開されており、これはこれとしてビジュアルで、よろしいですねぇ、というしかない。
巻末の画像つきの作品リストを見る限り、村上春樹の長編、短編の類はひととおり目を通したことになり、エッセイや解説本の要所は抑えた形になっている。翻訳ものはまったく手つかずだが、まるで村上作品に触れたことのない人から見れば、だいぶ村上を読みこんでいる、と思われるだろうし、リアルタイムで読書を続けてきた人から見れば、そんなに急いで村上春樹を読んだって、わかるわけがない、とお小言を頂戴するかもしれない。ちょっと微妙な立場に来ていることを感じる。(笑)
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