処女航海―変性意識の海原を行く
「処女航海―変性意識の海原を行く」
吉福 伸逸 (著) 1993/03 青土社 単行本 277p 青土社
Vol.2 980 ★☆☆☆☆ ★☆☆☆☆ ★☆☆☆☆
チリ地震津波による避難情報がとびかっている中、1990年代初めにハワイから日本に向けて、波乗り男が書いたこの本を読むことになったのも、何かの縁かと思う。
被害に会われた方にはお見舞いを申し上げるとともに、他の地域においても限りなく被害が小さいものであることを願っています。
本書は「異常体験の心理学」というタイトルで「イマーゴ」誌(1991年1月号~1992年8月号)に19回にわたって連載した原稿に、事実関係を中心にいくつかの修正をほどこして仕上げたものである。p170「あとがき」
この本は、宮迫千鶴との「楽園瞑想」2001/09の対談の中で知った。たまたま近くの図書館にはあったが、ネットをググってみたが、幸か不幸か、必ずしも人気のある本とは言えなさそうだ。内容も、ハワイと薬物の描写がメインになっているようで、この1990年を過ぎても、この人は60年代のサイケデリック・ムーブメントが忘れられなかったんだな、という印象を、強く持つ。
このファクターの極端な表現の一例は、ここ20年ほどのあいだに広まった新たな「体験的セラピー」や60年代から70年代にかけて一般に浸透していたサイケデリックスの体験に見い出すことができる。LSD、ペヨーテ、ヤエフアスカ、マジック・マッシュルームなどに代表されるサイケデリックスによって喚起される体験は、一般に信じられているような文脈を外れた単なる「幻覚」ではなく、深層の無意識の開示であることは、サイケデリックスをしっかり体験したことのある心理学者であればだれもが認めるところである。p64
早い話が、すべからく心理学者はジャンキーになるべきだ、と極言しているかのようで、いかにも著者らしい。「深層の無意識の開示」。まぁ、言葉はきれいですがね。著者のポエジーの域を超えてはいないのではないだろうか。
マリファナやサイケデリックスは、たとえば最近出回っているクラック、従来のコケイン、アイス(日本の覚醒剤にあたるメタアンフェタミンの一種で、こいらでは注射ではなく、喫煙可能なものも出回り始めており、クラック以上に危険なストリート・ドラッグとして警戒されている)などのスピード系のものや、ヘロインに代表されるダウナー系のドラッグとは区別すべきで、できれば何種類かのサイケデリックスに限っては臨床的、治療的、宗教的コンテクストにおける使用を許可するのが妥当である。p97
ハワイから日本に向けて、薬物の密売マーケットの状況を体験的にレポートしているわけで、このような情報を必要とするむきには貴重な本となろうが、当ブログとは完全に一線を画す世界を「航海」している著者ではある。この人がなぜに、みずからの著書に「処女」とつけることができたのか、私には理解しかねる。
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