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2010/02/10

村上春樹「1Q84」の世界を深読みする本

村上春樹「1Q84」の世界を深読みする本
「村上春樹『1Q84』の世界を深読みする本」 
空気さなぎ調査委員会 2009/09 ぶんか社 単行本 174p
Vol.2 965★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆

 図書館に入りそうでなかなか入らない本。しかたがないので、店頭で立ち読み。パラパラとめくる。第5章「『乗り物』についての考察」p112がなかなか面白い。電車なども含めて、1984年当時の国内外の車が10台ほど紹介されている。私のようなクルマ好きなら、かならずあのシーンではこの車がでてきた、と記憶に残る。一台一台が意味あるのだ。しかし、これって、本当に「深読み」なのかな。

 第8章「カルト教団の秘密」p158は、なんだかなぁ、という気分。いまさらその世界をおさらいかよ、という気分にもなるが、現在の大学生が1995年の時には、まだ幼稚園にもついていなかったことを考えれば、これもいかしかたないのか、としぶしぶ納得。

 逆に、第3章「物語を形成する『音楽』の謎」p78などは、まったく予備知識がないので、これは要チェック。と言っても、そのうち、そのうち、とあと延ばしになって、結局はこの辺は、私の場合はどうでもいい、ということになりかねない。

 そう言った意味では、第4章「なぜこの『武器』が使用されたのか」p98あたりも、私にとってはどうでもいいところ。意味はあるだろうが、あんまりその「物語層」でウロウロしていたくない、というところが本音。第7章の「物語に『引用』される書籍・映画の世界」p136に紹介されている十数冊のことも気にはなるが、いますぐ、という気分にはなれない。

 私にとって「深読み」とは、物語層から自伝層、そして象徴層への遡及であるべきだと思うのだが、この本においては、物語層の強化、という意味での「深読み」になっているようだ。じゃぁ、それって深読みではなくて、幅読みでは、などと、いちゃもんをつけてはみるが、まぁ、それはそれ、物語の小道具たちを理解することも大切なことなのだろう。

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