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2010/03/04

Beyond Psychology

Beyondpsychol
「Beyond Psychology」
Osho,  1988? A REVEL Book、 Hard Cover 416p
Vol.2 984★★★★ ★★★ ★★★

 私の手元のあるのは別なカバーの別なヴァージョンだが、まあいいだろう。ワールドツアー中のOshoが1986年4~5月に、周りの限られたサニヤシン達にむけて語ったウルグアイ・レクチャーの一つ。日本語訳がすでにある「神秘家の道」と前後して語られたものであり、内容も同じ方向性にあるものである。

 英語の苦手な私には、この本を一気に読むことはできない。しかし、読まずとも大好きな一冊となっている。というのも、この本のタイトルが大好きだからだ。「ビヨンド・サイコロジー」。心理学を超えて、というタイトルがなんとも大好きなのである。

 当ブログが「ブッタ達の心理学」というカテゴリ名にこだわっているのは、この「ビヨンド・サイコロジー」という考えがあったればこそと言える。心理学はまだ完全に開発されたものではなく、「ブッタ達の心理学」もその最高形態ではない。限りなく開発された心理学は、やがて、超えて行かれなくてはならない。その向こうにあるのは「神秘家の道」である。

 「ブッタのサイコセラピー」という本を店頭で見つけて立ち読みした。本格的に仏教を学び、アカデミズムの中で心理学を研究する人々の手によるもので、一読に値するかな、と図書館に入るのを待っていたが、なかなか入らない。だからまだ精読する機会がないが、かと言って自分で購入するほどでもない、というのが本音のところ。

 まず、この本を私が読むとしても、最初から批判的に読むことになってしまう。「仏教心理学と精神分析」という魅力あるテーマであるとか、第一部「ブッダの心理学」などというタイトルそのものが、極めて吸引力のある本であるが、最初からどうも、自分との違いを考えながら読むことになりそうなのである。

 まず当ブログにおける「ブッタ達」とは必ずしも、仏教を意識しているわけではない。そしてゴータマ・ブッタ個人に依拠しているわけではない。むしろ、ゴータマ・ブッタの個人性を薄めるために、わざわざ「ブッタ達」の「達」をつけつづけてきている。つまり、その意識のステージを共有する人々の、いわゆる大きな意識のプールのようなものをイメージしている。

 「心理学」と言った場合でも、ハーバードであるとか、どこどこ大学であるとか、そのようなアカデミズムの中で育まれてきた合理性を基本とした心理学をイメージしているわけではない。いや、むしろ、そこを離れたい。不可知、不可視、不合理の彼方に視線が向いている。

 したがって、例えばこの「ブッタのサイコセラピー」という本をめくるにしても、最初から批判的に読むことになってしまう。そこで問題なのは、この本ではなくて、一読者としての私の姿勢の方である。ことは微妙な段階に入っている。

 道を尋ねるとするならば、真摯に道を尋ねなくてはならない。私はどこかに行こうとしている。どこに行けばいいのか分からない。とことん困惑している時に、ふと道端に人がいる。「どこどこはどちらに行けばいいでしょう」と聞く。

 その人は、親切に道を教えてくれるだろうか。教えていただけるなら、それは大変ありがたいことだ。その教えに重きをおくなら、私はそのお礼を言い、すぐその道をたどって歩み始めるべきなのだ。

 しかしながら、「それはこちらの道ですよ」と教えてもらったのに、「ありがとう」と薄っぺらなお礼を言いつつ、反対の方向に歩み始めたら、それは道を聞いたことにはならないし、そもそも道を聞いたこと自体、大変失礼なことになる。

 もし、真摯に道を尋ねるとしたら、私はその教えに真摯に従う用意がなければならない。従う用意がなければ、そもそも他人に道を尋ねることなど無意味なのだ。そのような問いを発してはならない、ということになる。

 だから、「ブッタのサイコセラピー」という本を「読書」するだけなら、それはそれでいい。今回も近くの図書館にすでにリクエストしているが、入庫すればもちろん真っ先に読んでみたい。入庫しても読む気がなければリクエストする資格はないのである。

 しかるに、読んだとしても、その道を歩こうとする姿勢がなければ、読む資格はないのではないか。「意識をめぐる読書ブログ」を標榜する当ブログではあるが、ことは「道」に関わり始めている。

 まぁ、それほどうまく行くかどうかはわからないが、この「ブッタ達の心理学3.0」は、このタイトルでは最後となるカテゴリである。私は誰か、魂は何処にあるのか、いかに死ぬべきか、注意深く、目覚めて道を進めなくてはならない。 

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