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2010/03/25

色はことのは Feel the colors <1>

色はことのは
「色はことのは」 Feel the colors <1>
末永蒼生・文 /内藤忠行・写真 2003/10 幻冬舎  単行本 159p
Vol.2 No.1007(残り17冊)

 この本は、何の予備知識もなく、ただ図書館のリストの中のより近いほうの発行の本として借り出した本だった。この地味な表紙のために、読むのが後回しになっていた。ところが、実はこの本、意表を突くような、強烈な一冊だったのである。

 内藤忠行 写真家 1941年、東京・浅草生まれ。1964年よりマイルス・デイビスなどジャズの巨人を撮り始めると同時に彼らの表現にも惹かれ、それを写真に応用する。その独自の視点でアジア、アメリカ、アフリカ、など世界規模の取材を行った膨大な写真は、映像、造形、テキスタイルなど多様に発展している。(後略)p160著者紹介

 この本は、確かに末永蒼生の一冊でもあるが、この写真家・内藤忠行とのコラボレーションとして、むしろ、内藤の名前が前にこなくてはならないような一冊でさえある。私はどうしてもテキスト型のブログを展開してしまうが、実は、それはかなり片手落ちだと、いつも思っている。ビジュアルなものや音など、ネットの環境というものは、もっともっと活用できるはずなのである。

 だから、この本を評するのに、私のようなテキスト寄りの人間には、もう最初っから手に負えないのである。まぁ、とにかく、関心のある人は、この本を開いてみるしかない。ここには何にも転記することはできない。転記したからと言って、あの映像の中から言葉だけを取り出すことによって、一体何が伝わるというのか。

 ここであらためて、本のタイトルを見直してみる。「色はことのは」。色は言葉のようなメッセージを持っている、ということだろうか。

 自分の写真を振り返ってみるとずいぶんと色にこだわってきたなと思う。最初のテーマであったジャズをモノクロームで撮影したのは、黒人のセンスとスピリチュアリチュアルを表現するのにぴったりだと思ったから。というのはモノクローム写真はあんしんつワークで墨絵のようにデリケートな表現もでき、光の化学変化を熟知しそれを即効的にあやつれば、まだまだ無限の可能性が残されている。ジャズと墨絵、モノクローム写真、暗室ワークには共通する感覚が存在し、それは私の写真の根底に流れている。内藤 p158 

 英語タイトルもFeel the colors。なるほどと思う。もちろん、内藤の写真があっただけの一冊だったら、この本の価値もまた違ったものになってしまっていただろう。この二人のコラボレーションがあってこその、この一冊、というべきか。

 浄土の色彩を超えて

 チベット密教で行われる修法では、修行僧により砂絵マンダラが描かれる。マンダラは、仏が降臨する聖なる基地として意味を持っているのだ。

 まず、直径2メートルほどの円の中に四角と円の幾何学模様の線が墨打ちされる。それを数名の僧が取り囲み、細い鉄の筒に詰めた色の砂を注ぎながら図像を描いていく。読経、供物を捧げながら、朝から深夜まで、一週間通しで完成にいたるマンダラ制作は、まさに修行以外の何ものでもない。

 極彩色に彩られた豪華な絵は、色彩にも意味がある。黄、白、赤、黒、青の五正色は、それぞれに地、水、火、風、空の象徴だという。

 東西南北を意味する色を四方に配し、その中央に智慧を意味するための青の台座が置かれている。この知恵の座に仏が降り立って浄土が完成するのである。

 僧たちにとってこのマンダラをつくることは、教えを体得し、仏と一体になろうとする行為なのかもしれない。

 しかし、何といってもこのマンダラ修行の衝撃的なクライマックスは、儀式が終わるとともに精妙な砂絵が一気に崩されることである。

 鮮やかな砂絵は瞬く間に混ぜ合わされ、白っぽい砂の粒となって池に流される。その時の、若い修行僧の清らかな表情が、じつに印象的だ。

 おそらく、この修行の隠された意味は浄土を”作り出す”ことでなく、”捨て去る”ことにあるのではないだろうか。時間をかけ細密に描かれた美しいマンダラを崩すにはよほどの勇気が要りそうだ。

 これは、いわば執着を放棄するレッスンといったらいいだろうか。魂のセラピーとしては秀逸である。末永 p134

 ここまで、来て、ふと思う。当ブログ、第二期のインテグラルは、色曼荼羅の道へとつづいているのだろうか。

Photo_2

       「曼荼羅グラフィクス」田中公明

<2>につづく

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