臨床心理士への道
「臨床心理士への道」 AERA books
馬場礼子1999/03 朝日新聞出版 単行本 205p
Vol.2 987★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
いつもは使っていない部屋に探し物のために久しぶりに入って、ギョッとした。心理学関係の本がゴロっと固まって出てきたからだ。なになに・・? 自分もだいぶ心理学関係の本を持っているが、私が読んでいない本がこんなにあったのか。私以外の家族の誰かが読んだのだろう。その中から、目についた本を一冊だけ抜き取ってきた。それがこの本。
1999年の段階の本だから、まだ「臨床心理士」というネーミングもまだ一般的ではない時代。AERA books だから、どこかおしゃれな装丁がなんともいい。そう言えば、この時代の本に「精神分析学がわかる。」1998/11がある。あれはAERA mookだったが、いずれにせよ、このシリーズは、若い女性には人気の本なのかもしれない。
この「各心理臨床の領域」p17を見ていて、なるほど、と思った。当ブログでは、仮称としてZENマスターという概念をすこしづつ手探りしているのだが、この図の中に、どう関わってくるのだろう。見ていて、目がチカチカしてきた。
先日、当ブログのZENマスターは、教育学も、病理学も関係ないよ、と、つれない態度をとった。ましてや、介護などとも直接的には関係ないし、司法などはさらに縁がない。福祉、産業などにも限定されたくない。とすると、あとは「その他」か「個人開業」しかない。「個人開業」かぁ。まぁ、これかなぁ。
個人開業その他
(略)来談者に心理療法を行い支援する、という最も典型的な心理臨床家らしい職域とも言えますが、この個人開業の場合、どこか前記のそれぞれの領域で訓練を積んだ者が開設する、ということが基本です。臨床心理士の資格を取ったからすぐオープン、というわけには参りません。p36
そりゃ、そうだろうなぁ。
個人開業だと(略)、何もかも一人でこなしていかなくてはなりません。逆に言えば、こなしていける人であって初めて独立できるわけです。だから、最低でも十年は臨床経験を積んでいなけないでしょう。p37
この辺は、資格そのものは別にして、経験と年月、というだけなら、私の友人たちはわりとクリアしている人たちは多い。
本当は、長年の経験・訓練がなければやっていけないはずの仕事なのです。このあたりは声を大にして言いたいのですが、このごろは臨床心理士資格を取ったらもう個人開業していいのか、と思っている人も見受けられます。それをこわいもの知らずと、と言います。p37
医師でも弁護士でも税理士でも、資格だけでできる仕事なんてない。訓練と経験は必要ですね。
自分がぜんぜん悩んでいない人というのは、人の悩みが分かりません。いささか強い言い方になりますけれども、人生をまともに考えて生きていれば、そういうことでまったく何も悩まない、ということはきっとありえないことだと思います。
悩まない人の人生は浅い、とまでは言いませんけれど、悩んでいる人はこの仕事については適性があるです。
ただし、ひととおり、いちおう自分の悩みが解決している、自分の悩みを脱却しているというのも、また必要なのです。p122「向いている人 いない人」
小学生にもわかるくらい平易に書いてある。
不向きな人
一般に、心理療法の仕事に向いていない人というのは、常識的な価値判断がその人にしっかり身についていて、それが崩しがたいというようなタイプです。
これは、別の観点からすると、社会的に通用する、きちんとしてまじめな人で、路線から外れないで物事をきちんと処理していける人、でもあります。いわゆる常識人、役に立つ人ですね。
だけど、例えば礼儀対面社会性、といったものを重んじる常識家がセラピストになった場合、理不尽なことを言ってくる相手が心の底から受け入れられるでしょうか。心理療法の場では、反発してくる来談者に対しても、平気で常識はずれなことを言う人に対しても、「あーその気持ちわかる」と言えるくらいの型くずれをこちらがしている、あるいは常識の殻が相当突き崩せるのではないといけないわけです。p132
面白い職業だなぁ(笑)。
雇用形態から見ると、不安定な場合もすくなくありません。将来、フリーター的に仕事ができるほうがいいと思うような適性の人というと、現代社会の現実からすると女性になりがち、ということになるわけです。p127「志望者は女性が多い」
この本、「入門読本」とあるだけに、実に分かりやすい。だけども、この本がでて更に10年が経過しているのに、心理職の認知度や待遇は、ほとんど改善されていないかも。まだまだこれからが大切な職域と言える。
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