クリシュナムルティの世界<2>
「クリシュナムルティの世界」
大野純一 1997/08 コスモス・ライブラリ-/星雲社 単行本 434p
いわゆる一般的な「クリシュナムルティの世界」を知りたければ、この本以外の別な本を読んだ方がいいだろう。クリシュナムルティの語ったことや書いたことなら、どの本を取り上げても、いわゆる「クリシュナムルティの世界」が展開されている(はずだ)。せっかちな私なんぞ、飽き飽きして、いい加減、途中でぶん投げてしまう。いつものことだ。
だが、もしゲシュタルトを白黒反転させて、影としての「クリシュナムルティの世界」を知りたいとするならば、この本は持ってこいだ。この本には実に様々なことが書いてある。ゴシップネタが満載である。後年のクリシュナムルティの真意などどこへやら、彼を取り巻く有象無象の転び石がひしめきあっている。
しかし、いや、だからこそ、私はこの本の中でも、今東光、今日出海、今武平について書き留められている部分に注目する。決して長い文章ではないので、全文を書きうつしてもいいかもしれない。でも、なんだか違う。必要ならこの数ページのコピーを取っておこう。だが、なにかをここに転記して済む、という問題ではなさそうだ。
1)今武平が大正14年に「阿羅漢道」としてだしたクリシュナムルティの「大師の御足の元に」は、文党社からでているが、この出版元が今東光だったりする。http://
『阿羅漢道』クリシナムルテ著 今武平訳 大正14年11月15日 文党社発行(今東光) 定価40銭 菊半截判 64頁 角背紙装並製本 カバー 「目次」 序文 アンニー・ベサント 序文 クリシナムルテ 序文 今武平 四種の資格 霊師の膝下にて 詩
2)今東光「父今武平と霊智学」p331~338という短い文章、これは東光がリードビーターの「神秘的人間像」昭和15年の序文に書いたもの。
3)また、弟の今日出海の文章では「日本唯一のロッジの額」p335、などの文字が見え隠れする。
4)「日本で唯一の『星の教団』団員だった今武平」p5
5)鈴木大拙は1928年(58歳)の時点でセオソフィカル・ソサイエティ(叡智学会)京都マハーヤーナ・ロッジ(大乗支部)の責任者となる。つまり神智学協会の日本の活動の責任者だった。
6)1929年当時、日本でただ一人の「星の教団」員だった今武平(今日出海さんのお父さん・・)
7)1997年の段階で、大野にして、この二人の間に「何らかの交流があったかもしれない」という程度の把握しかできていない。
8)1929年の直後、今武平は「日本唯一のロッジの額を降ろしてしまった」ということになる。p334
9)セオソフィーはもともと日本では霊智学と訳されており、それを嫌った武平が名付けたのが「神智学」であった、という経緯も書かれている。運動としての表面的なセオソフィーから姿を消した武平が残した「神智学」という言葉のほうが残ったとすれば、なかなか歴史の妙。
10)クリシュナムルティの前世48を書いたとされる「アルキシオネの生涯」のアルキシオネとは、アルシオーネのこと。まさか、スバル・アルシオーネのことでは、あるしおーね・・・、じゃなかった、あるまいね。
11)その他、ホワイトブラザーフッドや、KHについての記録がランダムに放置されている。いやはや、いろいろある。
ちょっと我ながら、混乱気味。あとで加筆訂正しよう。
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