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2010/05/28

ハリール・ジブラーンの詩<3>

<2>よりつづく

ハリール・ジブラーンの詩
「ハリール・ジブラーンの詩」 <3> 
ハリール・ジブラーン 神谷美恵子 2003/09 角川書店 文庫 140p 出典「うつわの歌」みすず書房1989からの抜粋が一冊の文庫になった

 Oshoは「Books I Have Loved」でカリール・ジブランの本のうち9タイトルに触れている。そのうち、5タイトルの抄訳がこの小さな詩集に収められている。そもそもこの本は1975年に神谷が「婦人之友」に連載した紹介記事がひとつになったものであり、いかにジブランを愛した神谷と言えど、ジブランの全体像をこのちいさな本に満載することはできなかった。

 しかしながら、ジブランと言えば「預言者」というほど、極端な読まれ方をされているジブランにとって、全体的にまんべんなく紹介されているこの小さな本は、なかなかバランスがとれている一冊と言えるのではないだろうか。ましてや、体裁は詩集という形をとっているのであり、そこからの広がりを考える時、この本は侮れない魅力と存在感の香りを放っている。

 Oshoの本をランダムに読みながら、自分の中で時代的背景の中で整理してみる。すると、大体3つの本に集約されるのではないか、と思う。ひとつは1981年の早い時期に語られた「Books I Have Loved」である。そして、最後のZenシリーズとなった1989年の「Zen Manifest」。それから新たに加えるとすれば、それは60年代末の初期的講話「In Search of the Miraculous」が適当である。

 この三冊を並べてみれば、自分の中のOshoがかなり整理がつくように思う。もちろん、最後の一冊はより純化されたOshoを見る思いもするし、当ブログでの読み込みは不完全ながら、初期講話の持っているエネルギーは途方もないものが感じられる。敢えていうなら、この二冊でも十分という感じもする。

 しかしながら、動と静、プラスとマイナス、陽と陰、というほどに大きく違いを見せる二つの本に懸ける橋があるとすれば、私は「Books I Have Loved」を選ぶ。70年前後、80年前後、90年前後、という20数年に渡る3つの時代区分にも相応している。さらには、科学者、詩人、神秘家、という3要素のうち、それぞれの3冊が、それぞれの側面を代表しているようにも思える。

 まだ当ブログでは果たせていないが、「In Search of the Miraculous」は、例の神智学的7つの身体論に照らし合わせながら「科学」してみるのも面白かろうと思う。そのためにすこしづつ地ならしをしているところ。最後のZenシリーズは、ある意味、究極のテーマであり、こちらもまた一気には進めないが、ターゲットは定まっている。

 しかしながら、もし、Oshoの中から一冊を取り上げなさいと言われたら、そして、科学者、詩人、神秘家、という要素の全体像を象徴する入り口を見つけなさいといわれたら、私なら、この「Books I Have Loved」を選ぶだろう。たった一冊ではあっても、パワフルだ。Oshoの全体像が見渡せる気がする。

 さらに、その本に含まれる本の168冊の中のセンターはどこにあるか、と問われたら、敢えて、詩人、カリール・ジブランをはずす理由はないだろう。168冊の中で、Oshoはもっともジブランを取り上げている。残念ながら、日本においては、ジブランはまだ十分に紹介されていない。未邦訳なものばかりでなく、アラビヤ語でこそ味わえる詩もあるとのことだ。

 いずれはジブランのシリーズが日本でも広く読まれることになるのだろうが、現在のところ、バランス良く、しかも実にコンパクトにジブランを紹介しているのが、この神谷の「ハリール・ジブラーンの詩」だろう。

 Jonathan Livingston Seagull日本語版における五木寛之の解説がよくも悪くも作品の性格を決定づけてしまっているように、神谷のジブラン理解はやや解釈者に引き寄せてすぎている、と言えなくもない。しかし、それを差し引いたとしても、現在におけるこの紹介のされ方は、とてもバランスがよいように思える。

 絵を書くことと、文をつづくことに従事し、彼の本には自画がいくつもはさまれていますが、みな夢幻的な、独特な画風のものです。35歳になってパリへ行き、芸術アカデミーに入学。彫刻家ロダンのもとに3年間学びました。神谷p12「はじめに」

 1883年生れのジブラン35歳と言えば、1918年頃のパリか。そこにおける3年間ほどにあいだに、ジブランに何があったか、私は、ちょっと気になり始めた。  

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