奇跡の探求〈1〉覚醒の炎<4>
「奇跡の探求〈1〉」覚醒の炎―和尚初期瞑想キャンプの講話 <4>
OSHO OSHOサクシン瞑想センター (翻訳) 市民出版社 単行本: 479p
☆☆☆☆★
P・D・ウスペンスキーの「奇蹟を求めて(グルジェフの神秘宇宙論)」を読み進めるにあたって、併読したい本がいくつかある。ウスペンスキーの本の原題は「In Search of the Miraculous」であるが、それとまったく同じ英語タイトルのOshoの本がある。それがこの「奇跡の探求1,2」である。こちらもまったく同じ「In Search of the Miraculous」というタイトルを持つ。
もっとも、1970年前後のOsho講話がいくつかまとめられて合本として出版されたものだから、もともとのタイトルはこのままではなかった可能性がある。しかし、語られいる内容や、出版された当時のことを考えれば、ウスペンスキーの「探求」に対する、Oshoの応答、と読むことも可能だ。
日本語においては「奇跡」と「奇蹟」の違いがある。こまかく言えば違いがあるが、ここではそれほど大きな問題にはならないだろう。単に邦訳に携わった翻訳者たちのセンスの問題だ。
前回、この本をめくった時、「道場」という言葉は、ひょっとすると英語では「スクール」になっているかもしれないし、元のヒンディー語では「アシュラム」や他の言葉になっている可能性は高い、と、逡巡していた。あの時、自分はこの本の英語本を持っていないと思っていたのだが、実は以前から手元にあった。
Men like Gurdjieff and Krishnamurti have been victims of such incongruity. The incogruity is that they could not have systematic knowledge of the secrets that lie behind terms and energies like the kundalini. In fact, such knowledge is very difficult to obtain. It is simply not possible in one lifetime.
It happens only in the case of some rare individuals who learn and grow among some dozens of schools in the course of dozens of lives; otherwise it is impossible. If someone grows among dozens of schools--which will obviously take dozens of lives-- only then it is possible that in his last life he will find a synthesis among the diverse spiritual disciplines. Otherwise it is not possible to find a synthesis. Osho「In Search of the Miraculous」volume1 p284
翻訳という仕事は多大なエネルギーがそそがれるべき大変なワークだが、それでもなお、万全、ということはないだろう。読み手において、その真意を受け取るためには、そのことを自らの体験の中で受け取る必要があろう。
いずれにせよ、日本語で「道場」とされているところは「schools」であった。ここではグルジェフやウスペンスキーが語られているのだから、敢えて現代語としての日本語では「スクール」とされるべきだろう。「道場」では、なんだか柔道場や剣道場を連想する。ここにおけるスクールは、必ずしも建物を意味しない。
今武平が「阿羅漢道」と翻訳したクリシュナムルティの「At the feet of the Master」に対して、Oshoは同じタイトルでサニヤス・イニシエーション日記を対応させているし、おなじクリシュナムルティの「The First and Last Freedom」に対しては、瞑想法ガイドブックを対応させている。ウスペンスキーの「奇蹟を求めて」に対しては、Oshoはこの「奇跡の探求」を対応させているのである。
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