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2010/06/03

ターシャム・オルガヌム<5>

<4>よりつづく

ターシャム・オルガヌム(第三の思考規範)―世界の謎への鍵
「ターシャム・オルガヌム」(第三の思考規範)―世界の謎への鍵 <5>
P.D. ウスペンスキー , 高橋 弘泰 , 小森 健太朗 2000/06 コスモスライブラリー 単行本

 「BIHL3」の2冊目にこの本は登場する。ようやくのところ「BIHL2」のアップの第一段階が終わって、BIHL1~2の21冊についての再読・再々読がスタートするわけだが、どういうわけか、その前に何冊かのリスト外の本が気になる。そのトップがこの本。

 学生時代にOshoが部屋代一カ月分を出して買ったというこの本、そのために、部屋代が払えず、街灯の下でこの本を読んだという。学生時代の頭脳がピカピカに働く時代にはこの本の論理性と割り切りの良さが魅力ではあるだろう。あるいは、1950年代という時代の中で、第二次大戦後のインドにおいても、ウスペンスキーの魅力は限りないものであったのだろうか。

 さて、2010年現在の、この本が置かれている状況はいかがなものであろうか。前半3分の1、中ごろ3分の1、後半3分の1は、ある意味、当ブログ言うところの「コンテナ」、「コンテンツ」、「コンシャスネス」の3C論に対応しているかに思える。

 当ブログはなんの目的もなく、ただ「公立図書館」借りた本を読んで、「ブログ」に書こう、という作業を繰り返してきただけなのだが、流通している本にも定量があり、読み手としての当ブログの力量の限界もある。足掛け5年、都合2100冊に及ぼうとするその図書群において、次第に、ジャンル分けされ、嗜好性が判断されてくることはやむをえないことではある。

 全体性を失わない程度に、現在はターゲットを絞りつつあるところであり、ほぼ飽和状態に見えるインターネットやIT関連の科学=コンテナ関係は、ほとんど無視しつつある。また、このところ全然面白くない政治や経済=コンテンツ類も、よっぽどでない限り、敢えて読もうとはしていない。

 敢えていうなら、残るところのCであるコンシャスネス=意識に、より集中しつつあるのであるが、それはまた、こちらが重要である、という認識よりかは、いままであまりに飛ばし読みしてきたので、この分野、よく分かっていないでしょう、という認識がベースになっている。

 さて、別な三位一体でいうと、「私」、「魂」、「死」というテーマもある。「私は誰か」、「魂はどこにあるか」、「いかに死ぬか」というテーマの中で、次第に当ブログは「死」に絞りつつあるのであるが、それは必ずしも無限の暗黒の意味での死ではない。

 意識---コンシャスネス---死。より無や空にちかい形での意識をさらに深めたいテーマとしている当ブログとしては、いままでの本たちを再読するうえでも、よりそのあたりを重視しながら読み進めていきたいと思う。

 さて、この「ターシャム・オルガヌム」、すでにこのブログにも抜き書きしているが、残り後半3分の1程度のところは「意識」について集中して書いてある。もちろん、この本の性格上、最初から「意識」について触れているのだが、特に後半部分は、一度では飲み込めない図式などがゴロゴロと転がっているので、次なる「BIHL3」の再読=精読モードにおいては、もういちど、より正確に読み進めたいと思う。

 しかし、それにしても思うことは、「意識」を「意識」する、という次元に比較すれば、「意識」を「表現」する、という意味において巧みなウスペンスキーではあるが、「意識」を「意識」するがゆえに、その「表現」が現れた、という点が、どうも少くなさそうに思うのである。

 この本、何度も改訂されたようであるが、その「改訂」自体、「意識」を「意識」するではなく、「意識」を「表現」するでもなく、「表現」を「表現」する、という次元に下降してきてしまっているのではないか、と感じられる。

 論理性、文献を大事にする検証性、ストーリーを維持するための一貫性、統一性、かなわぬとも、そのように装う完全性。そのあたりに、どこか表現至上主義的な落とし穴が隠れているように思われるのだ。

 当ブログがこれからより「意識」にテーマを絞り込むにしても、それは「肉体」や「魂」を排撃した地平を開くということではなく、それらを含めた全体性の中心にいたいからこそ、いままで、散漫にちらかしてきた「意識」について、よりクリアに見てみようとするだけなのだが、そのピュアに感覚に行き着く上において、ウスペンスキーの一連の仕事に対する評価が、今後どのように当ブログにおいて変化していくのか、自分なりに興味深い。

 まぁ、いずれ再読する時のために、簡単にそんなことをメモしておく。

<6>につづく

  

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