プロフェット(予言者)<1>
「プロフェット(予言者)」
ジブラーン (著)小林薫(翻訳) 1972/06 ごま書房 単行本 228p
Vol.3 No.0031 ★★★★☆
さてBIHL2のリストをみながら、またまた溜息がでる。さてどこから始めるかなぁ、と思いをめぐらしたが、結局は、読みやすいところからスタートするしかない。BIHL1では結局「かもめのジョナサン」が一番最初だったが、こちらではやっぱり似たような傾向でジブラーンの「プロフェット」ということになった。
この本の邦訳はすでに二桁に達しているだろう。ひとつひとつ味わいが違うが、私個人としては、永い間、手元にあったこの本が一番なじみがある。翻訳されたのも一番古いのではないだろうか。
悩めるアメリカの若者に半世紀にわたって もっとも広く もっとも深く読まれた”現代の聖書” 表紙コピー
このコピーが生きる。1972年という年代の世の中の空気が感じられる。
アル=ムスタファー---この選ばれ、愛られる者---自らの時代への曙光---は、オルファリースの町で、12年ものあいだ、おのれが生れた島に連れ戻してくれる船を待っていた。
そして、その12年目の刈り入れの月、9月の7日に、町の城壁の背後にある丘に登り、はるか海の彼方を眺めやった。と、霧に包まれて、近づいてくる船が見えた。
そのとき、彼の心の奥のもろもろの扉は、さわやかに開け放たれ、彼の喜びは、海上はるかに飛び上がり始めた。彼は、目を閉じ、魂の静寂の中に祈った。
しかし、丘を下りていくや、忽然として、悲しみが訪れてきた。p14「序章 船来る」
ジブランは、「漂泊者」を初めとして、次第に翻訳されているようだ。神谷美恵子「ハリール・ジブラーンの詩」においてわずかに全体像が垣間見えるようでもあるが、まだまだ知られてはいないようだ。今後の訳業に携わる人々の活躍に期待したい。
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