預言者 The Prophet
「預言者」 The Prophet
カリール・ジブラン (著), 船井 幸雄 (監修, 翻訳) 2009/8 成甲書房 単行本: 160p
Vol.3 No.0042☆☆☆★★
船井幸雄とジブラン、はっきり言って、これほど似つかわないコンビネーションもない、と思った。加藤諦三が「ネイティブ・アメリカン 聖なる言葉」を翻訳しているのを知った時と同じような衝撃が走った。ほへ~~。
しかし、モノは考えようだ。別にお気に入りの作家を一人占めすることはできないのだし、それだけ多くの人に愛されているということは素晴らしいことではないか。むしろ、これらの特定の翻訳者を通じて、それだけ読者層が増えるということはいいことだ。
そう思い直して、この本を虚心坦懐に読んでみる。またまた正直に言えば、翻訳は堅い。あのジブランの独特のふくらみとやわらかさが、少しくかけている。文字の大きさとか、ページの作り方とか、なにかもう一つ工夫が必要だったのではないか。
逆にこの本の一番すごいと思うことは、10枚以上のジブラン本人の手になる白黒の裸体図が挿画として挟まれていること。これはすごい。いままで読んだ8冊の中に、これほどのジブランの絵はなかったのではないか。パリのロダンのもとで学んだ時の作品群であろうか。とくに136pの画などは、神智学というよりもっとオカルテッィクな神秘主義の影響を感じる。
巻末に船井幸雄の解説があるが、相変わらずのトーンで、私はあの部分はないほうがよいと思うが、ここがあるからこそ読む、という人もいるんだろうなぁ。
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